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失い、傷つき、それでもなお 「在り続ける」

渡辺真起子×坂本欣弘監督 インタビュー

失い、傷つき、それでもなお
「在り続ける」

Sponsored by 映画『無明の橋』
人は心に負った深い傷から、「悲しみ」や「怒り」といった感情にとらわれ、出口の見えない状態に陥ってしまうことがあります。そんな時、ふと出会った一本の映画が、暗闇を照らす道標のように、回復への小さなきっかけとなることがあるのではないでしょうか。
大切な人を失い、自責の念に駆られた主人公・由起子が、富山県の立山で女性のために催される儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」に参加し、その後に出会う人々や出来事を通じて、再生への一歩を踏み出す姿を描いた映画『無明の橋』(公開中)。これまでも故郷・富山を舞台に映画を撮り続けてきた坂本欣弘監督が、構想から約9年という歳月をかけて、完成させた作品です。
江戸時代に誕生し、今もなお受け継がれている「布橋灌頂会」。その大きな時の流れが息づく立山の地について。そして、本作のもう一つの起点である「俳優・渡辺真起子」という存在について。主演を務めた渡辺真起子さんと坂本監督に、お話を伺いました。

立山の麓で感じた「生死の遠近感」

本作は、立山連峰の麓にある「芦峅寺(あしくらじ)」という集落で誕生した、女人救済の儀式「布橋灌頂会」がモチーフとなっています。坂本監督はこれまでも、富山を舞台に、そこに生きる人々の営みや自然との関わりを描かれてきました。

デビュー作『真白の恋』(2017)でも立山連峰を撮られていますが、今作を撮影するにあたり改めて立山を歩かれたそうですね。

坂本はい。「芦峅寺」は立山の中でも、少し異質と言いますか、特別な感じのする場所で。富山で暮らしていても、実はあまり馴染みのない場所だったんです。

坂本監督は富山で生まれ、大学入学のために上京するまで、富山で過ごされていました。「芦峅寺」は、今作の撮影にあたり初めて訪れたのでしょうか。

坂本はい。『真白の恋』の公開準備をしている頃に、地元のアナウンサーから「布橋灌頂会」の話を聞いたことがきっかけでこの儀式に興味を持ち、初めて訪れました。ロケハンでは、立山の一部の立ち入り制限区域にも、特別に許可をもらって歩かせてもらったんです。歩きながら土地の雰囲気を吸収していった感じですね。

立山は、富士山・白山と並んで「日本三霊山」のひとつに数えられ、1300年前から続くといわれる山岳信仰の舞台のひとつでもあります。

渡辺真起子さん演じる主人公・由起子は「布橋灌頂会」に参加した帰り道、地元の高校生・沙梨(陣野小和)と出会い、共に山を降っていきますが、その道中は現実の風景でありながら、まるで「あの世とこの世の間」を歩いているかのようで強く印象に残りました。

坂本あの道中の撮影場所は、撮影の米倉さんと一緒に歩き、人の気配を極力排除できる場所を探しました。芦峅寺周辺は、皆さんも実際に訪れると「おぉ」と感じるような土地だと思います。雄山山頂にある「雄山神社 峰本社」などは、パワースポットとしても有名な場所ですから。

劇中、由起子は「小元」というバス停を起点に歩き始めますが、あの場所は実際には…?

坂本この映画のためにつくった、架空のバス停なんです。

渡辺現実にあるかのような存在感でした。

渡辺さんは由起子として立たれてみて、いかがでしたか?

© 2025「無明の橋」製作委員会

渡辺山に包まれている、という感覚がありました。立山連峰に囲まれた、広大な空間がそこにあって、その中に私がいるという感覚です。

芦峅寺に入ると、立山連峰がすごく綺麗に見えるんです。深い山々が開けていて、その遠近感がとても美しい。その風景を見ていると、その「遠近感」が自分の中にも小さくあるように感じられました。

「自分の中に小さくある遠近感」、ですか?

渡辺はい。「生死」も、遠近感で語れるのではないかと思うんです。オギャーと生まれた瞬間にはわからないけれど、人生を重ねる中で、「死」が自分の中で近くなったり、遠くなったりする。そんな感覚です。

© 2025「無明の橋」製作委員会

由起子が「布橋灌頂会」に参加するきっかけのひとつとなった「立山曼荼羅(たてやままんだら)」にも描かれているように、立山は、穢れを落とし、生まれ変わるための登山道「禅定登拝道」としての歴史がある場所でもありますね。

渡辺芦峅寺の方たちは、自分たちの土地の歴史や、これまでどう生きてこられたのかを、私たちにわかりやすく話してくださいました。とてもいい方ばかりで。

例えば、明治政府の神仏分離令(※)が出された時、神仏が混淆していた芦峅寺では仏像やお地蔵様、石仏を保存することにつくした、ということも教えていただきました。

※神仏分離令…明治政府が発令した、日本の伝統的な信仰である神道と仏教を明確に区別させる政策。これにより、多くの寺院や仏像が破壊された。

芦峅寺は、立山信仰の案内人である「衆徒(しゅうと)」として、参拝者を山へ導いた歴史がある集落でもあります。そういうお話は撮影の合間にお伺いになったんでしょうか。

渡辺そうですね、支度場所などをお借りしたので。私たちが自分の家みたいに寛がせていただいた場所があるんですけど、そのお宅のお母さんが、「私たちがここにいることを知ってほしい」とおっしゃっていたのが心に残っています。

その言葉は、由起子がコツコツと生きる毎日の中で、自身の存在を問う気持ちと、どこか繋がるように感じたんです。

「渡辺真起子・主演で、映画を撮りたい」

今作は「渡辺真起子さん主演」を前提に企画を進められたそうですね。前作の『もみの家』(2020)の撮影中に、坂本監督は渡辺さんに直接その思いを伝えられたと伺いました。渡辺さんのどのような点に惹かれ、「主演に」と強く思われたのでしょうか。

渡辺忌憚のないご意見を。

坂本はい(笑)。僕は中・高校生の時に観た映画が、今の自分に大きな影響を与えているんですけど、その一本が『独立少年合唱団』(2000)という映画なんです。

第50回ベルリン国際映画祭でアルフレート・バウアー賞に輝いた、緒方明監督の劇場映画デビュー作ですね。学生運動に揺れる1970年代を舞台に、合唱部員の少年二人の友情を描いた青春映画です。

坂本でも、正直なところ、当時の僕にはよく理解できなかった。それで、何度も繰り返し観ました。高校1年生ぐらいの時ですかね。クレジットにあった「サンセントシネマワークス」という会社の名前が記憶に残り、そこから夏休みになると、「新作」か「ジャケットがかっこいい映画」、または「サンセントシネマワークス配給の映画」を借りて観るようになりました。

坂本その中の一つに、渡辺さん主演の映画『M/OTHER』(1999)があったんです。

第52回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞受賞した、諏訪敦彦監督の長編第二作で、渡辺さんは三浦友和さんと共に年の離れたカップルを演じられました。

坂本その後、映画監督を目指して専門学校に通うようになるんですけど、先生から勧められて観に行く映画の多くに、渡辺さんが出演されていて。映画を観た後に、友人たちと「渡辺さん、かっこよかったね」と話したのが2008年の夏。

渡辺そうなの? 初めて聞いた。

坂本『もみの家』に渡辺さんに出演していただく際も、プロデューサーに懇願して。そしたら、念願が叶って出演していただくことになって。

撮影現場で渡辺さんは「こうするのは、どうですか?」と意見を伝えてくださるんです。ディスカッションしながら作品をつくりあげたという経験が、僕の映画制作人生で、とても大きなものになって。「渡辺さん主演で映画をつくりたい」という思いがより一層強くなりました。

『もみの家』の撮影の中で、その思いを坂本監督から伝えられた時、渡辺さんは率直にどう感じられましたか?

渡辺「へー、そう」って。

一同(笑)。

坂本車で移動中に「布橋灌頂会という儀式があって…」と映像を見せて、渡辺さん主演で撮りたいとお伝えしたら、「俳優の〇〇さんがいいんじゃない?」っておっしゃって…。あんまり前向きじゃなかったのかな、と。渡辺さんは覚えてないかもしれないんですが…。

渡辺そうそう、言った(笑)。いや、そこには理由がありまして。映画の企画って、なかなか実現しないことが多いんです。皆さん「いつかご一緒したい」って言ってくださるんですけど、話が具体的になるまでは期待しない癖がついているんです。

そうしないと、心が壊れちゃうから。俳優って、やっぱり請け負う仕事じゃないですか。だから、自分の心を健全に保ちながら、この仕事を続けていくためには、どうしても客観的な視点が強くなってしまう。

なるほど。

渡辺「布橋灌頂会」にすごく興味もあったし、映像も美しかった…。でも、私でいいのかなっていう思いもありました。だから、そこら辺は曖昧に。もちろん照れもありましたけど…って私、何言ってるんだろう(笑)。

では、脚本と共に改めて依頼があった時は。

渡辺「ほぅ」と。

一同(笑)。

娘を亡くし、15年間も深い喪失と自責の念を抱え続ける由起子という役を演じられるということについては、いかがでしたか?

© 2025「無明の橋」製作委員会

渡辺私は57歳なんで、何かを失った経験はあります。それは生きていく上で普通のこと。だから、由起子のことを「わかる」とは言えないけれど、「わからない」わけではない。私の中にもあることかなと。

それをわざわざ人に語ったりはしませんが。でも、その喪失を「なかったこと」にはできない。それを乗り越えて、由起子は先に進んできたのだろうと考えながら歩いていただけで、特別に「役作り」はしてないです。

はい。

渡辺役は一人でつくるものではなく、脚本や演出、関わるみんなでつくりあげていくものなのではないかと思います。この物語を立ち上げたいという思いで、みんなのそばにしっかりといること。それが一番の役作りになるんじゃないかなと考えていました。

「神が住む山」に流れる
大きな時間軸の中で

由起子が再生に向かう大きなきっかけとなる「布橋灌頂会」は、橋のこちら側を「この世」、渡った先を「あの世」と見立て、橋を渡ることで死を疑似体験し、そこから蘇って生きる力を得る「生まれ変わり」の儀式です。

© 2025「無明の橋」製作委員会

声明と雅楽、自然の音が渾然一体となる中、白装束を纏った女性たちが目隠しをして橋を渡っていく。その光景は圧巻でした。

渡辺橋の向こう側にいる僧侶「来迎衆」に、橋の中央で案内役の「引導衆」から引き継がれる瞬間があるんですが、それがもう、すごくて…。

私たちはどこかに踏み込むんでいくんだな、と。どうやら橋を渡るだけじゃなく、どこかに連れて行かれるらしい…「どこに連れていくんだ、私を!」って(笑)。そんな話、聞いてませんでしたから!

橋を渡った後に「遙望館」の中に入っていくことは、ご存知なかったんですか!? それは、坂本監督の演出だったんでしょうか?

渡辺わざとだった?

坂本すいません…知ってるもんだと勝手に…。

渡辺知りませんでした! お堂に入っていくと真っ暗闇で、「何にも見えない!」って、本当に驚きました(笑)。

参加した女性たちは、遙望館の暗闇の中で目隠しを外し、一心に祈りを捧げた後、正面の戸が開け放たれる「御開帳」で立山連峰を拝みます。儀式の、そして今作のクライマックスでもありますね。

渡辺何も知らされずにその瞬間を迎えたので、どんな気持ちで立山連峰を見ればいいのかと。エキストラとして参加してくださった地元の方たちが、儀式やその反応について教えてくださったので、それに照らし合わせながら、自分の人格をギリギリに保ちながら(笑)、シーンとしてやるべきことに徹しました。

渡辺でも、撮影はてんやわんやだったんですが、僧侶の方々はとても落ち着かれていて、信仰や儀式について何を聞いても優しく説明してくださったので、大変助かりました。

その時に、立山で観測される「ブロッケン現象」の話を伺ったんです。太陽を背にした時、自分の影の周りに虹色の光の輪が見える現象のことで、日本ではそれを仏様が後光を放ちながら姿を現す「御来迎(ごらいごう)」と呼んで、神聖視してきたそうなんです。

それが立山信仰の原点にも繋がっているんですね。

渡辺陽を背にして、パッと自分の影を見たら、そこに仏様がいる。「布橋灌頂会」でお堂から立山連峰の姿に極楽浄土を見てとり、心を新たにするというのも、そのリアルな体験に近い感覚なのではないかと感じました。

その「御開帳」までのシーンは、映画を観ている側も儀式を追体験しているような感覚になりました。

坂本僕は2023年に開催された際に、本来、遙望館は男性禁制なのですが、町長から特別に許可を得て、中に入らせていただいたんです。その時は撮影のことを考えていたはずなのに、気づけば自分のこれまでの行いや映画との向き合い方について、懺悔のような気持ちが巡ってきて…。

坂本このリアルな体験を、映画の中に落とし込みたいと思いました。でも、一番大変だったのは、この儀式を再現するために、多くの方々から許可をいただくことでしたね。儀式を執り行う僧侶の方は、県外在住の方がほとんどだったので、本作の撮影のためにわざわざ富山まで集まっていただいたんです。

渡辺 女人衆としてエキストラ出演してくださった立山町の方々や雄山高校の皆さんをはじめ、本当に多くの方が協力してくださいましたよね。それで思い出したのが、儀式の待機時間などにエキストラとして参加してくださった地元の方たちが交わす、ごく普通の日常会話です。荘厳な儀式の「非日常的な時間」と並行して、「日常の時間」も確かに流れていて。

その対比があるからこそ、儀式に参加する一人ひとりが、より際立った「個」になっていくじゃないかなと感じました。

儀式という特別な「ハレ」の時間と、日常である「ケ」の時間が、同時に存在していたのですね。

渡辺この土地にとって、立山信仰とは日常の延長にあるものなんだろうと感じましたね。

渡辺真起子、坂本欣弘監督の「心の一本の映画」

坂本監督は、『真白の恋』『もみの家』そして今作『無明の橋』と、一貫して「自分という存在に罪の意識を抱えている主人公が、自然や人の営みに触れ、回復していく過程」を描かれてきました。そこにはどのような思いがあるのでしょうか。

坂本そうですね。自分がこれまでにそういう映画に励まされ、「もう少し頑張ってみよう」と思える体験があって…そうなんですよね、それで映画をつくりたいって思って。そういう原体験があります。

20歳ぐらいの時に、「どういう映画をつくっていきたいか」を考えたことがありました。例えば、死にたいと思って東尋坊へ向かう道中で、ふと立ち寄った蕎麦屋さんのテレビでたまたま流れていた「金曜ロードショー」を観て、「明日も生きてみよう」と思ってもらえるような、そういう映画をつくりたい。それが、自分の映画監督のスタート地点なんです。

坂本映画の専門学校の卒業制作も、根底には同じ思いがあったんですが、先生から「死を扱う時は、生半可な気持ちでやるな」と言われて。それ以来、正面から描くことはしてこなかったんですが、今回は覚悟を決めてそこに向き合おうと思いました。

渡辺いい先生だね。

では最後に、お二人の「心の一本の映画」を教えてください。坂本監督がおっしゃっていたように、今作が目指した「観た人の道標になるような映画」や、今作を観た人におすすめしたい映画があれば、教えてください。

坂本『バーニング 劇場版』(2018)ですね。

渡辺イ・チャンドン監督のね。

坂本この映画は渡辺さんに「これを観ろ!」と言われて観たんですが、観終わった後、自分の中にフワッと入ってくるものがあったんです。その感覚を、この映画にも少しでも入れられたらいいなと思っていました。

渡辺私、立派。いいこと言ったね。

坂本はい(笑)。

渡辺この映画は内省していく作品なので、「外に向かっていく映画」をおすすめしますね。レオナルド・ディカプリオ主演の『ワン・バトル・アフター・アナザー』(2025)です。

ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作で、冴えない日々を送る元革命家の主人公が、ある日娘をさらわれたことを機に、昔の闘争心を甦らせていく姿を描いた作品です。

渡辺最高に面白かったです。全部吐き出すような、ありのままの素敵なオヤジたちを観て、スカッとするのもいいんじゃないでしょうか。ヒロイン像もかなり強いです。

FEATURED FILM
15 年前、3 歳だった愛娘を亡くした由起子は、心に癒えぬ傷を背負いながら、今もその罪の意識から逃れられずにいた。ある日、とある絵画を偶然目にして心を奪われた彼女は、駆り立てられるように、その絵が描く舞台の地へと足を運ぶ。立山連峰を望む橋のたもと。様々な想いを抱えた女性が集うその場所で、由起子は不思議なひとときを過ごすことになるのだった——。
© 2025「無明の橋」製作委員会
出演:渡辺真起⼦ 陣野⼩和 吉岡睦雄 岩瀬亮 山口詩史 岩谷健司 ⽊⻯⿇⽣ / 室井滋
監督:坂本欣弘(『真白の恋』『もみの家』)
脚本:伊吹一 坂本欣弘
音楽:未知瑠
撮影:米倉伸
配給・宣伝:ラビットハウス

2025年12月19日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
2025 年11 月28 日(金)より J-MAX THEATER とやま 他 富山先行公開
PROFILE
俳優
渡辺 真起子
Makiko Watanabe
1968 年生まれ、東京都出身。モデルとして活動を始め TVCM に多数出演、雑誌キューティーの初代表紙を務める。映画『バカヤロー!私、怒ってます』(1988)で女優デビュー。1999年、主演を務めた諏訪敦彦監督作『M/OTHER』はカンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞、2007 年に出演した河瀨直美監督作『殯の森』はカンヌ国際映画祭グランプリを受賞した。主な出演作に、『愛の予感』(2007)、『2つ目の窓』(2014)、『37 セカンズ』(2019)、『平静』(2020)、『ケイコ目を澄ませて』(2022)、『ナミビアの砂漠』(2024)、『あるいは、ユートピア』(2024)、『港に灯がともる』(2025)がある。その他の受賞歴として、99年「M/OTHER」で第14回高崎映画祭主演女優賞、13年には「チチを撮りに」で第7回アジアン・フィルム・アワードで日本映画界初の最優秀助演女優賞、20年には「浅田家!」「37 セカンズ」で第33回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞助演女優賞。

【衣装協力】UNDERCOVER
監督
坂本 欣弘
Yoshihiro Sakamoto
1986 年生まれ、富山県出身。デビュー作『真白の恋』(2017)で主人公・真白のつたない恋心の機微を自身の出身地・富山県の美しい風景と共に丹念に映し出し、第 32 回高崎映画祭 新進監督グランプリ、なら国際映画祭や福井映画祭で観客賞を受賞など、国内映画祭、映画ファンの心を鷲掴みにした。続く『もみの家』(2020)では、四季を通じて富山での撮影を行い、少女の成長を丁寧に描いた。最新作『無明の橋』(2025)では、立山の風景を背景に“喪失と再生”をテーマとした物語を紡いでいる。富山の風土に根ざしながら、人の心に静かに寄り添う作品を生み出し続けている。
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