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まっすぐで不器用で、 どこか自分に自信が持てないでいる人たちは、私に似ている。

松本穂香 インタビュー

まっすぐで不器用で、
どこか自分に自信が持てないでいる人たちは、私に似ている。

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自信のないすべての人へ寄せられた映画『きみと、波にのれたら』(2019年6月21日公開)は、湯浅政明監督の「自信のない人たちが自信を持てるようになる話になれば」という思いのもとつくられました。登場人物たちが大切な存在に背中を押してもらうことで変化し、一歩を踏み出していく姿が描かれています。
今作で、誰に対してもぶっきらぼうな態度をとってしまう、主人公、港の妹・洋子役の声を務める松本穂香さんも、「私は、もともと自信のない方」だと言います。そんな松本さんが、自信を持って前に進むために大切にしていることは、自分の「好き」を感じる時間だそう。松本さんにとって自分の「好き」と向かい合う時間は、どういう意味を持つのでしょうか。
松本穂香 インタビュー

ものづくりを続けると
大事な人が増えていく

「したたかに生きていかなければという世の中で、純粋な主人公を波にのせてあげたいと思った」と今作について、湯浅政明監督は語っていますね。今の世の中で“純粋である”ということは、生きづらさにもつながっているのだなと思わされました。

松本私が声を務めた洋子も、何でも表情に出てわかりやすい性格ではあるけれど、思ったことをすぐ口にしてしまう性格で、周りに勘違いされるタイプでした。まっすぐなんだけれど、損をしてしまう不器用な人というか。

主人公だけでなく、メインの登場人物は皆、まっすぐで不器用で、どこか自分に自信が持てないでいる人たちでしたね。

松本私も、もともと自分に自信がある方ではないので、とても共感できました。あとは、洋子の思ったことが無意識に全部出てしまうところや、思ったら行動せずにはいられないところも。

松本穂香 インタビュー

松本さんも、行動が先に立つ方ですか?

松本そうですね。私の好きなシーンで、洋子が思いを寄せる山葵(声:伊藤健太郎)に大きな声で告白するシーンがあるのですが、その気持ちもすごくわかります。後先考えずに、思いをまっすぐにぶつける感じが(笑)。山葵は頼りなくて情けないところもあるけれど、純粋な性格だから洋子は惹かれたんだと思います。洋子も山葵も、まっすぐなところが似ていますよね。

山葵が何気なく言った「洋子さんは洋子さんですから」というまっすぐな一言に、洋子は救われ、閉じこもっていた世界から抜け出していきます。洋子にとっての山葵のように、登場人物が自分に自信を持てるようになったのは、背中を押して支えてくれる存在がいたからこそという印象を受けました。松本さんにとって、そういう存在はいますか?

松本マネージャーやメイクさんやスタイリストさんなど、いつも周りにいてくれる方もそうですし、今まで共演させていただいた方も「この人と、またお芝居がしたい」というモチベーションになり、仕事を続けていく上での支えになっています。

ものづくりを続けていくということは、そういう大事な人が増えていくということなんだと感じます。

松本穂香 インタビュー

洋子は頼りにしていた兄を突然の事故で失ってしまいますが、「悲しい」という感情をあまり表に出すことなく気丈にしていました。それどころか、率先して悲しみの中にある人に関わって行きます。それまで一番不器用な生き方をしていた洋子が、背中を押す側にまわる姿に、胸を打たれました。

松本多分、それが洋子にとって、兄の死と向き合い、自分の悲しみと向き合う方法のひとつだったんだろうと思います。洋子にとって、優秀な兄という存在はコンプレックスだった反面、甘えるいい訳でもありました。でも、兄は器用だったのではなく、努力をして自信に変えていたタイプで、その姿を見ていた。

だからこそ、兄がいなくなった時、その分「強くならなきゃ」と思えたんだと思います。そして、自分だけ前を向くのではなく、みんなで前を向くことを選択したんだろうなって。例え不器用だったとしても、行動しないと何も変わらないし、始まらないというのを改めて洋子から教わりました。

松本さんは辛いことがあった時や迷った時、どう乗り越えていらっしゃいますか?

松本自分がパンクしそうな時は、その原因と向き合って、ワンワン泣きます(笑)。気づいたら、もう向き合うしかないというか、爆発させるしかないという状況になっていることが多いですね。そして、自分の好きな映画を観たり舞台を観たりして、好きなものに浸る時間を大事にします。

松本穂香 インタビュー

松本穂香の「心の一本」の映画

松本さんが、背中を押してもらった映画はありますか?

松本『耳をすませば』(1995)です。何度も繰り返し観ている映画ですね。いくつになっても、主人公に感情移入して観ちゃうんです、「私は雫だ」って(笑)。

雫も、今作の登場人物たちと同じで、自分に自信が持てないで、もがいている役でしたね。

松本雫は、ヴァイオリン職人になりたいと進路を決めている聖司のように、自分も進む道を決めたいと思って、もがくんです。けれど、なかなか思うように成長できなくて、突っ走ってしまう。そういう10代ならではの感情にすごく共感しました。

例えば、雫が初めて自分が書く物語を、聖司の祖父に読んでもらうシーン。その間、部屋で待っておけばいいものの、屋外で寒い中うずくまって待っているんです。観ていて痛々しいのですが…すごく気持ちがわかって(笑)。

松本穂香 インタビュー

読み終わったおじいさんに、雫は「私、書いてみてわかったんです! 書きたいだけじゃダメなんだってこと。もっと勉強しなきゃダメだって!」と言って泣き崩れてしまいますね。

松本表現をするためには、もっと勉強して自分の中に肥やしをつくらないと先に進めないということを、この映画はいつも感じさせてくれます。

役者の仕事を始めてすぐの頃、自分が出演した作品を観て「自分が普段考えていることや、自分の甘いところも全て映ってしまう!」と感じたんです。だから、時間があれば映画を観たり本を読んだりしています。

松本さんのツイッターを拝見すると、お忙しい中でもたくさん映画や舞台を観ていらっしゃることがわかります。

松本私、自分の「好き」っていう感覚は、とても大切にしているんです。だから、好きな映画や本や舞台など、好きなものにできるだけ触れるようにしています。そうすることで、初心に戻れると感じているんです。この映画も疲れた時に観ることが多いですね

松本さんにとって、好きな映画や音楽などに触れる時間はどういう意味を持つんですか?

松本自分というものが見えるというか、理解できる時間だと思います。例えば、映画の感想を聞くと、その人がどういう人なのか、何となくわかる気がしませんか。考え方とか、どういう生活をおくっているのかが、そこから浮き彫りになりますよね。

だから、自分をより知るためにも、「好き」と感じた時はできる限りその機会を増やしたり、好きなものを「好き」と意識して言葉にしたりすることをこれからも大事にできればと思います。

松本穂香 インタビュー
PROFILE
女優
松本穂香
Honoka Matsumoto
1997年生まれ、大阪府出身。
主演短編映画『MY NAME』でデビュー。 連続テレビ小説「ひよっこ」(17年)への出演で注目を集め、『恋は雨上がりのように』(18年)、『世界でいちばん長い写真』(18年)など話題作に続々出演。主演映画『おいしい家族』『わたしは光をにぎっている』が公開待機中(共に19年公開予定)。アニメーション映画への声の出演は本作が初となる。
INFORMATION
『きみと、波にのれたら』
監督:湯浅政明
脚本:吉田玲子
音楽:大島ミチル
出演:片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、川栄李奈、松本穂香、伊藤健太郎
配給:東宝
公式サイト: https://kimi-nami.com/
(c)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会
大学入学を機に海辺の街へ越してきたひな子。サーフィンが大好きで、波の上では怖いものなしだが自分の未来については自信を持てずにいた。ある火事騒動をきっかけに、ひな子は消防士の港(みなと)と出会い、二人は恋に落ちる。
お互いがなくてはならない存在となった二人だが、港は海の事故で命を落としてしまう。大好きな海が見られなくなるほど憔悴するひな子が、ある日ふと二人の思い出の歌を口ずさむと、水の中から港が現れる。
「ひな子のこと、ずっと助けるって約束したろ?」
再び会えたことを喜ぶひな子だが…。二人はずっと一緒にいることができるのだろうか?港が再び姿を見せた本当の目的とは?
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