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河野知美「揺れる泪、闘う乳房 〜Pはつらいよ映画日記〜」vol.7

2023年5月
『水いらずの星』ピクチャーロック完了。

Sponsored by 映画『水いらずの星』
揺れる泪、闘う乳房 〜Pはつらいよ映画日記〜
俳優は、プロデューサーは、どんな日常生活を送り、どんな思いで作品の劇場公開までを過ごすのか。そして、もしもその間に、大病を宣告されたとしたら——。
あるときは、唯一無二のルックスと感性を武器に活躍する俳優。またあるときは、悩みつつも前に進む自主映画のプロデューサー。二つの顔を持ち、日々ひた走る河野知美さん。
2023年初冬、河野さんが主演・プロデュースを務める新作映画『水いらずの星』が公開されます。越川道夫監督、松田正隆原作、梅田誠弘W主演の本作。その撮影から公開に至るまでの、約1年間の映画作りと闘病について、河野さんが日記を綴ります。
第7回は2023年5月の日記です。
俳優・映画プロデューサー
河野知美
Tomomi Kono
映画『父の愛人』(13/迫田公介監督)で、アメリカのビバリーフィルムフェスティバル2012ベストアクトレス賞受賞。その他のおもな出演作に、映画では日仏共同制作の『サベージ・ナイト』(15/クリストフ・サニャ監督)や、『霊的ボリシェヴィキ』(18/高橋洋監督)、『真・事故物件パート2/全滅』(22/佐々木勝巳監督)、ドラマではNHK大河ドラマ『西郷どん』(18)、Netflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』(20/三宅唱監督)、HBO Max制作のテレビシリーズ『TOKYO VICE』(22/マイケル・マン監督ほか)など多数。また、主演映画『truth~姦しき弔いの果て~』(22/堤幸彦監督)ではプロデューサーデビューも果たし、『ザ・ミソジニー』でもプロデュース・出演を兼任。2023年初冬、梅田誠弘とのW主演作であり、プロデューサーとしての3作目でもある映画『水いらずの星』(越川道夫監督)が公開予定。|ヘアメイク:西村桜子

5月1日

今日は朝から病院。
エキスパンダーに100mlのお水がまた追加された。
右胸はとうとう、左胸より大きくなって、なんなら左胸も大きくしちゃう?とか考える。

右胸はインプラントを入れるつもり。
傷を最小限にできるから。
でもそうすると年を取るたび左胸は老化し、右胸だけハリを持ったまま若々しくあり続ける。

矛盾だな。いっそ左胸も豊胸しちゃった方がいい気がしてくる。

みんながみんな、望みがある。
その一つ一つをなるべくなら叶えてあげたいとPは思う。

総合的に一番損をせず、作品にとって、みんなにとって、一番よい形の決断をしようと探る。

すべてが正論かもしれない。
言うのは簡単かもしれない。

映画製作は自主映画であれ、大きな枠組の中で動いている。
長いタームの中で、短いタームをいくつも計算しながら積み上げていく。

それさえなければ、何ヵ月でも、何年でも、本当にできたと思うまで編集をし続けていいのかもしれない。

むしろ、納得いかないけど、こんなものか。
で、公開する方がもったいないような気もする。

そんな消費するように映画を作ってもナンセンスだ。とも思う。

ねえ。
映画にとって一番幸せな形ってなんだと思う?
Pはそれを優先的に考えたいよ。
それも私のエゴなのかもしれないけど。

5月3日

父が今月末で、自身が作った会社を退く。
つまり、本当に退職する。

昔はおっちょこちょいで頼りなかった次女。
いつの間にか、知美が会社を継ぐならありだと思うよ。と父が言ったりしていた。
でも、知美はやりたいことをした方がいい。
自分が得意とすることをやっていた方がいい。と裏の気持ちもなく言ってくれていた。
河野知美の応援隊長。

会社を継ぐのもありかもしれない。と、思ったこともあったけど、後悔してない。

毎朝、早起きして同じ時間に週5で会社に行って、土日は家族と。娘が出て行った後は母と過ごす。ゴルフ以外そんなに趣味のない父。
何が楽しいんだろう?なんて配慮のない言葉をかけたこともあるけど、私には絶対にできない不可能なことを父はやり遂げた。
定年退職もせず、その後も10年以上働き続けた。父らしいな。と思った。

尊敬してます。父を。
何不自由なく、わがままに、そして立派に育ててくれました。

未だにまた新しいアクションを起こそうとしてる私だけど、理由をきちんと聞いて、理解したら受け止め、背中を押してくださいました。

知美なら大丈夫だよ。と。

長い間本当に本当に、お勤めありがとうございました。
これからは母とゆっくり仲良くお過ごしください。

また、困らせに帰りますね。

5月9日

あーーーーー。
決定しなければならないこと。
調整しなければならないこと。
押し寄せてくる。押し寄せてくる。

それはどの作品であっても、物事がいい方向に進んでいると言った意味で。

今日は1日撮影だったわけだが、現場にパソコンを持ち込んで、空き時間に作業の嵐。

本当にアシスタントプロデューサーが欲しくなってきている。もう1本増えたら確実にそうしようと思っている。

そんな中で、私のこれからの課題は「うまく人に仕事をお任せする」ということだ。
自分でいつもある程度やれてきてしまったが故、人にどう仕事をふればいいのかわからず、人に頼む間に無理してでも自分でやってしまえ!みたいな感覚が強い。
今後はこれはダメだよ。と自身で呟く。

3作品が同時進行中。
『水いらずの星』に関して言えば、川口ミリさんを中心にパンフレットチームが前のめりに尽力してくださっており、できることから進めてくださっていて本当に感謝している。

ただし、もちろん河野が主軸で動いていかなければならない部分もある。

「河野さん! 河野さん!」とあらゆるところから声が上がる。
「プロデューサー! プロデューサー!」
そうです、私がプロデューサーです!

一つ一つ丁寧に対応したい。かつうまい具合にお任せもしたい。イコール、信頼できるスタッフ陣たちで固めるということなのかもしれない。
そういう意味ではたぶんものすごくできている。あとは私が少しでも肩の荷を上手に下ろせるようになることと、予算をきちんと集められるようになることだ。

まだまだ一人前のPへの道は遠い。

とりあえず明日も現場ゆえ、ある程度やったら早めに寝ます。

5月10日

病気と向き合うことは、命と向き合うこと。
命と向き合うことは、生きることに向き合うこと。
生きることに向き合うことは、どう生きるかに向き合うこと。

どう生きるか?
プロデューサーとして映画製作をして、俳優として映画の中で生きて、自分らしく生きるということ。

死はいつも突然やってくる。
それなら私は惜しまれて死にたい。
貴方が惜しんでくれるような生き方をしたい。
そして言わせたい。
河野は生ききった。と。
そう言わせたら私の人生ゲームは勝利だ。

下北沢K2シネマで、ウォン・カーウァイ監督の最高傑作『若き仕立屋の恋 Long version』が上映中だ。
興奮しながら木村知貴氏にオススメしたら観に行ってくれた。

「すげーよかった! 観れてよかった!」と興奮したメールが来着。

映画がまた私を幸せにした。

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5月11日

昨日の日記の続きを、今日のことのように書くことをお許しください。

5月10日。
この日は私にとって、また忘れられない日になるのでしょう。
プロデューサーとして忘れてはいけない日になると思います。

早朝から撮影に向かい、終了したのが15:30頃。
急いで家に帰って、明日公開のYouTube番組の編集。
19:30になったらK’s cinema に向かい、『水いらずの星』のポストカード配り。
帰って編集の続きをして納品。

その後は『夜は千の眼を持つ』のクラウドファンディングのラストスパート。

600万を越える支援金が集まった。
予想を遥かに超えていた。
来るメール、来るメールに「期待しています」「楽しみにしています」「知美さんに憧れています」と書かれていて。

私はもう、ちゃんと自信持たなくちゃいけないんだ。と思わされて。

監督に「本当にお疲れ様でした!」と言われてホロリとしていたら、本企画が、プチョン国際ファンタスティック映画祭の企画マーケットの日本作品として選ばれたと連絡があった。

これは、今年の同映画祭に日本代表として参加することを意味している。

とんでもないことが始まってしまうのだな。と武者震い。

来年には胸を張って、プロデューサーです。と堂々と言えるようになりたい。

まずはご支援くださった皆様。
私きちんとやり遂げます。
期待に応えられるよう邁進させていただきます。

ありがとうございました!

5月13日

バスでお婆さんがお尻から転げた。
沢山男の人もいたし、若い人もいたのに、私以外誰も助けなかった。
私も術後であまり力が入れられなくて、何度か失敗しながらやっと立ち上げることができた。みんな見て見ぬ振り。
悲しくなった。

中学生の時、電車で後ろから男性のものをスカートにかけられた私を、誰も助けてくれなかったことを思い出した。

瀧本智行監督と直接お話する機会があって、『樹の海』で大杉漣さんがチカンされてる女子高生を助けるシーンがあるんだけど、「現実にそんな人はいない」と監督に言ったら困ってたっけ。

バスを降りる時、お婆さんが何度も「ありがとうございました」と言ってくださった。

そうか。大杉漣さんは、私じゃないか。
とよくわからない気づきに、でも心が熱くなって、「まだ、希望はある」と思った。

いつも思う。映画はエンターテイメントでなくちゃならない。と。
でも、私は今日、真逆のことも心に刻んだ。

撮影なのに雨だなぁ。
晴れ間を願う。

5月15日

病院の日。
水が更に50ml注入された。
完全に右だけ大きくなった。
次回で注入は終わり、半年後くらいにシリコンに入れ替える手術となる。

半年後というと、年末くらいだな。とぼんやり思う。
『水いらずの星』で地方の劇場周りがあるから、手術は2月あたりがいいなぁ。

鏡を見るたび、愛される自信みたいのがなくて、愛することしかできないんだなぁと思って、自信がないと愛することも難しいのかなぁと思って。

第32回日本映画プロフェッショナル大賞の主演女優賞を影山祐子ちゃんがとって、自分のことのように嬉しかったのは、影ちゃんが映画の中で本当に本当に何度も何度も濡れ場を演じていて、大変だったろうに。よく頑張ったね。って心から思って。
そして、すごく綺麗で。

一緒に観に行った木村知貴氏に、すごくシンプルに「手術後に、ああいうシーンを観てどう思った?」と聞かれて、「正直羨ましいと思った」と答えた自分を思い出す。

俳優としては活動できるけど、女優としてもう裸になる役はできないんだ。としみじみ思って(別に脱ぎたいわけじゃないよ)。
なんか悔しいなぁ。とも思ったんだと思う。

役の幅はあればあるほどいいよ。と今更ながら思うわけです。

5月18日

光が見えた。
手術後初めて、乳腺科の林先生の診療を受ける。
手術後の検査結果と共に。

手術後検査結果が出た。

・シコリ部分2cm切除
・乳腺部分5.3cm切除
・乳頭切除

リンパ、その他の部位への転移なし。

今後10年間、ホルモン治療剤・タモキシフェン錠を毎日飲み続けるのみで、抗がん剤治療などは当面必要なし。

髪の毛が抜けることはないが、服用による、吐き気、火照り、無月経などの副作用の可能性あり。

希望ができた。
やっと少し生きようと。
もう少し生きようと思えた。
輝きたいと思った。
輝けるはずと思った。

「人は誤解を恐れる。
だが本当に生きる者は当然誤解される。
誤解される分量に応じて、
その人は強く豊かなのだ。
誤解の満艦飾となって、誇らかに華やぐべきだ。」

岡本太郎

5月20日

「名声って実体がないものなのよ。忘れないで。私もひとりの女よ。好きな男の人に愛してほしいと願ってる」

映画『ノッティングヒルの恋人』より

昨日、『水いらずの星』に関わってくれている上澤友香さんとミリさんのインタビューが行われた。

なんかの流れで、ミリさんが「河野さんは、プロデューサーとしてはバリバリのキャリアウーマンみたいだけど、普段は少女みたい」と言っていて、また別の話で私が「闘病している素の河野知美と、プロデューサーの古山知美は、分かれて並行した二つの道を歩いてる感覚がある」というような話をしたりして。

最近、私の中に二人の自分がいることになんとなく気付いてはいたんだけど、昨日明らかに全く別物にしているんだ。と確信に変わった。

強くて逞しいのはプロデューサーの私。
弱くて守ってもらいたいのは素の私。

もし、私を見て弱い。と感じたら、それは素の私になっているのかもしれない。
もし、私を見て強い。と感じたら、それはプロデューサーの私になっているのかもしれない。

その乖離がいつにも増して明確になってきてる。
ゆえに、プロデューサーとしての仕事の一つの目標とは相反する『ノッティングヒルの恋人』のセリフに、素の私が共鳴するのだと思う。

そして、その私を忘れたくないのだと思う。

5月23日

次の撮影の改稿があがってきて震えている。
ものすごいセリフの量だ。
これはやばい。あと数日しかないというのに、今日はこれから、夜までずっと打ち合わせが入っている。
結構緊急事態だ。

本当に忙しいなぁ。日々の規律みたいのが完全にロスト。
それなのに、昨日は『サンクチュアリ -聖域-』を全部観てしまった。

企画マーケットの詳細が出て、私の作品以外はみんな、有名なプロデューサーの方の作品で、なんかもう、どうしよう。しかない。

高橋監督は、「英語できないからしらんぺ」みたいな感じだし(笑)、企画書だけは最大限に協力していただこうと思っている。

VIPO(映像産業振興機構)側から、プレゼンのレクチャーやピッチングの確認サポートをしていただけると聞き、多少は安心しているが、それまでに用意、準備、計画しなければならないことが山ほど押し寄せてくる。

世界を相手に、私は闘えるのだろうか。
いや、闘うしかないんだ。
求められているうちが花とはこのことだ。

今こそ、各組の親愛なるチームの皆さんに仕事をお任せし、私は最終ジャッジとしてどんと構えていればいいのだ。

大丈夫。みんなに任せるべし。

でも、たまにはストレス解消にカラオケ行きたいな。。
小旅行に行きたいな。
ランチだけでもゆっくりしたいな。。。

「喉に詰まった 君の視線は
帰る場所さ ひとりじゃない

いいんだよ 分からないまま
曖昧な愛
い-家々の窓にはそれぞれが迷い
シャツの襟は立ったまま

怖い夢なんて忘れてしまおう
鈴の音が鳴る方へと
安心する声の方へ
大丈夫と抱きしめて」

カネコアヤノ「タオルケットは穏やかな」より

5月26日

『水いらずの星』がようやくピクチャーロック(*映画作りにおいて、画の編集および尺が確定すること、およびその段階の映像を意味する。これを元に整音、効果、音楽、VFXなどの作業に行う)。
撮影の合間に、編集の菊井さんや、配給・宣伝の財前さん、整音の川口くん、音楽の宇波くんと、ピクチャーロック後のスケジュール確認や、打ち合わせの日程調整。

第二幕の始まりだ。

ヴェネチア国際映画祭に向けて、JVTA(日本映像翻訳アカデミー)さんとの字幕製作も佳境を迎え、財前さんも劇場営業に拍車をかけてく。

みんな頼みます!
そなたたちの番手が回ってきたのでごじゃる。

さあ最寄駅。

5月27日

深夜1時ごろ。
YouTube番組の編集をしていたら、ミリさんから『水いらずの星』あらすじの原稿が送られてきた。

急かしてしまったな。と思う反面、酷く感動した。

最近のミリさんは、本当に大活躍で、スケジュールを把握しているようで、てんてこ舞いのPを精細に詳細にフォローしてくださり、何より楽しんでくれているのが気持ちいいほどわかる。信頼にあたる人。

私は本当に人に頼るのが下手だから、上手にできないから、嫌な気持ちにさせることがあるかもしれないけど、チーム一人一人、どんな些細なことでもいい。遠慮なく私に伝えて欲しい。

スピッツも『正夢』で言ってた。
「愛は必ず 最後に勝つだろう」と。
私はチームの為に勝ちたい。自分に勝ちたい。
だから、一人一人と向き合って、一人一人の気持ちと意見を受け入れて、一人一人の為にやれるだけのことをした上で、最後に自分が納得できる答えを探したい。

それが私のプロデュースだ。

不器用だとか、遠回りだとか、大変だとか、人に時間をかけすぎだとか、だから自主映画なんだとか、色々言われてきたけど。

これが私のプロデュースだ。

あ、そうそう今朝はこの曲を熱唱して、
エネルギー爆上げしました。

5月28日

ドラマのお話をいただいた。
6月中に撮影だ。地上波はNHK以来。嬉しい。

正直すでに、『水いらずの星』、磯谷組、高橋組すべてがフル回転で動いていて、激務を極めている。
6月のプチョン国際ファンタスティック映画祭まで、乗り越えられるのかな。私。

一瞬落ち込んだり、一瞬嬉しくなったり、一瞬誰かを頼りたいと思ったり、一瞬そうか一人じゃないんだって思えたり。
河野の日々はもうジェットコースターのように分刻みで感情が変わる。

本気だからこそ、死ぬ気でやってるからこそ、ぶつかることもあるし、怒られることもあるし、それを乗り越えて一緒に喜んだりもするし、自分のことが大嫌いになったりもするし、まだまだ捨てたもんじゃないって思えたりもする。

でも本気なんだよ。映画に対して。それだけなんだよ。
それは私だけじゃない。関わっているみんなが。
だから、私河野知美自身がどんなに気持ちが落ちていても、どんなに気分が上がっていても、プロデューサー古山知美がこの手を止めることはない。
この手を止めることはできない。1日1日とにかく積み重ねる。

時に私の言葉(日記)は誰かを傷つけているかもしれない。
時に誰かを勇気づけているかもしれない。
言葉には責任が伴う。わかってる。
でも、書き続けること。書き留めておくこと。
私の感情を残すことにこの日記の意味がある。
許してくださいとは言わない。
でも、出会った人すべてからいただいたこの感情を、どうか今は残させてください。

記事として公開できるかは、担当編集のミリさんと小原編集長がきちんと判断してくれるから。

5月31日

20時間くらい仕事をしている。
でも、その間に誰かと話をしたり、誰かが仕事を進めたりしてくれている。
だから私は止まるわけにはいかないんだって、手を進める。

昨日は久しぶりにオーディションに行った。
ものすごく楽しかった。初めましての方と、一瞬の芝居に挑む。
みんな自分なりのプランニングがあって挑んでいる中で、どうこの登場人物たち、かつこのシーンを面白くするかを、一瞬で頭が燃えるほど考える瞬間は、アドレナリンがブワッと出て、最高にエキサイティングだ。芝居が楽しいと思える瞬間だ。

そんな中でも、待合室では多少緊張するわけで、そこでたまたま知り合いの俳優さんとかが来ると、フワッとリラックスできたりして。
仲間の大事さをまた思い知る。

映画を作り出してから、本当にお知り合いが増えたなぁ。嬉しいなぁ。
みんながちゃんと眼を見て話してくれるようになって、頑張ってきて良かったなぁ。って思ったり。

そのあとは、これまたYouTube番組の収録。
影山祐子ちゃんがゲストで来てくれた。

繋がる繋がる。繋がれ繋がれ。毎日の努力。

これから『水いらずの星』の撮影監督、髙野さんと打ち合わせ。
グレーディングスケジュールについて詰めていく。
何度プロデューサーをやっても、技術部の作業工程はよくわからないし、それぞれのやり方があるので、結局話して進めないことには正解が見当たらない。

作品にとって、一番いい流れを。作品にとって一番いい形を。
一人一人の個性が違うように、愛してあげられたらいい。と思う。
ペースも、活かし方も、何もかも。

その向こうに会いたい人がいる。
私はそれまで頑張る。ちゃんと頑張る。
約束を守るために頑張る。

写真:河野知美
BACK NUMBER
INFORMATION
『水いらずの星』
かつて国内で栄えた造船業が急速に廃れた後の日本。瀬戸内海に面した香川・坂出に逃げ着いた女(河野知美)は、体を売って孤独に生きていた。女には6年前、長崎・佐世保で共に暮らしていた夫(梅田誠弘)のもとから、別の男と駆け落ちした過去があった。ある雨の晩、突然訪ねてきた夫。女のさびれたアパートの部屋で、二人が空白の時間を埋めるかのように語らい、体を重ねるにつれ、次第に時空が歪み出し……。
公式Twitter: @Mizuirazu_movie 
公式Instagram: @mizuirazu_movie
©2022 松田正隆/屋号河野知美映画製作団体
プロデューサー:古山知美
企画・製作:屋号河野知美映画製作団体
制作協力:有限会社スローラーナー/ウッディ株式会社
配給:株式会社フルモテルモ/IhrHERz 株式会社
2023年初冬公開予定
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