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ご当地ミニシアターさんぽ 名古屋編 コース②

名古屋のレトロ可愛い映画館巡り→大盛り喫茶メニューに舌鼓!
【名演小劇場/ボンボン】

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気になっていたミニシアターを目指し、旅してみるのはいかがでしょう? 世界中のバラエティ豊かな映画を、独自に厳選して上映しているミニシアター。そんな日本各地にある個性豊かな劇場で映画を味わった後で、合わせてご当地グルメも味わえる、おすすめさんぽコースを紹介します。今回は、名古屋編! 全3回に分けてお届けします。
コース①はこちら)
ナビゲーター
編集者
川口ミリ
Milli Kawaguchi
編集者、ライター。映画誌、ライフスタイル誌の編集部を経て、2016年からフリー。2018年からPINTSCOPEに参加。次に名古屋に行くときは、センチュリーシネマ、大須シネマ、伏見ミリオン座といった新しめのミニシアターにも行ってみたい!

オフィス街の片隅にある 名演小劇場

2日目は朝から地下鉄・東山線に乗り、新栄町駅で下車。この辺りはオフィス街が広がり、一見すると一駅隣の繁華街・栄とは違い、正直、無味乾燥なエリアです。平日ですがまだ午前中だからか、閑散としています。

そんな中を歩いていくと、まるで夜道にぽつんと明かりが灯るように、〈名演小劇場〉が現れます。

なんでも1972年、最初は演劇の劇場として、観客・演劇人・市民ら約10,000名の資金提供により竣工・開館。長年愛されてきましたが、2003年に時代の変化を受け、映画上映のための場所へとリニューアルしたそう。

文化的な成り立ちの建物だからか、階段の木と金属を組み合わせた手すりのデザインや、外壁のブルー、階段の壁のピンクといった、華やかでありながら落ち着いた色合いに、格式高い趣きが大切に引き継がれているような気がします(聞けば、ピンクの壁は開館当時、代表とスタッフ自ら塗ったものだといいます)。

ロビーやテラスには、フリーに使える椅子とテーブルがたくさん。そこで、名古屋市民と思しきおばさまたちが、水筒のお茶を飲みながら世間話に興じていました。

東京だとカフェ併設型の映画館はたくさんありますが、こんなふうにコミュニティスペースとして成立しているのは、あまり見ない気がします。名演小劇場に来たのは初めてですが、すごくいいなぁと思いました。

さてこの日観た映画は、『〈主婦〉の学校』(2020)。アイスランドの首都・レイキャビクにある、家事全般を学べる「主婦の学校」のドキュメンタリーです。

興味深いのは、男女共学ということ。アイスランドはジェンダーギャップ指数ランキングで12年連続1位の、ジェンダー平等が進んでいる国だそう。同ランキング120位の日本からすると、かなり眩しく感じます。現代的なテーマの作品だからでしょうか、先ほどのおばさまたちはじめ、平日にしてはなかなかの盛況でした。

学生たちは寮で共同生活を送りながら、TPOに合った料理の調理法、洗濯やアイロンがけの方法、縫製技術、テーブルセッティングやマナーなどを学びます。

とりわけ目に飛び込んできたのは、料理の数々です。クリスマスシーズンともなると、学生たちは伝統的なお菓子を手作りし、校内で期間限定のカフェを開き、市民らをもてなします。そのお菓子がいかにもおいしそうで……。

もう、私もケーキを食べるしかありません。鑑賞後、歩いて12分の〈ボンボン〉へ。1949年の創業以来、「いいものをお値打ちで」という実に名古屋的なポリシーを貫いてきた純喫茶です。

ボンボンでショーウィンドウ越しに、どのケーキを食べるか迷う楽しさよ。というのも、種類が豊富なのです。チーズケーキ系が好きなので、今回はクレームダンジュに。

ちなみにコーヒーを頼むだけでも、ミニエクレアがついてきます。なんという気前のよさ。朝はモーニングもやってます。

ウッディな内装がノスタルジックな店内には入れ替わり立ち替わり、シティボーイ風の3人組から、女子大生たち、そして常連のおばあさんやおじいさんと、老若男女が訪れます。常連さんたちは、きっと定位置なのでしょう、奥のほうの席でおしゃべりに花を咲かせています。

ここもまさにコミュニティスペース。昨今のサードウェーブコーヒーのカフェにはなかなか出せないフラットな空気感に魅了され、つい何度も訪れてしまうのです。

今回のさんぽコース

COURSE 2
名演小劇場
愛知県名古屋市東区東桜2-23-7
(地下鉄「栄駅」5番出口下車、錦通を東へ約10分。
地下鉄「新栄町駅」下車、錦通を西へ約10分。
地下鉄「高岳駅」下車、都市高速道路に沿って南へ約10分)
↓(徒歩12分)
ボンボン
愛知県名古屋市東区泉2-1-22
(地下鉄 桜通線「高岳駅」1番出口より徒歩4分)
INFORMATION
名演小劇場
住所:愛知県名古屋市東区東桜2丁目23番7号
TEL:(上映時間案内) 052-931-1741(代)052-931-1701
PROFILE
編集者
川口ミリ
Milli Kawaguchi
編集者、ライター。映画誌、ライフスタイル誌の編集部を経て、2016年からフリー。2018年からPINTSCOPEに参加。次に名古屋に行くときは、センチュリーシネマ、大須シネマ、伏見ミリオン座といった新しめのミニシアターにも行ってみたい!
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