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100万回のキスよりもっと! 映画に学ぶ「愛の伝え方」

言葉にならない想いは
言葉で伝えなくてもいい
『ムーンライト』

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「愛している!」この想いを伝えたい。
でも、この溢れる想いは言葉だけじゃ伝えられない!
そんなアイラブユーの言葉だけじゃ足りない、あなたへ
映画に描かれた様々な「愛を伝えるシーン」から、言葉やキスやハグだけではない“大切な人への愛の表現” を紹介します!
誰かを想う、その気持ちの届け方は、ひとつだけではありませんよ。

『ムーンライト』から学ぶ
”愛の伝え方”

言葉にならない想いを
温かい食事とメロウな歌にのせる

シャロンとケヴィンの再会より

丁寧に作ったキューバ料理と
ジュークボックスから流れるR&B

「そんな言葉信じられると思う?」
かつて付き合っていた恋人と喧嘩をして、仲直りをしようと必死に謝っていた際、こう言われて愕然としたことがあります。本や映画が大好きで書くことを生業としていた私にとって、「言葉が力を持たない場面がある」と思い知らされた人生で初めての出来事でした。それから数年たったいまでも、大切な人に「ごめん」や「会いたかった」を伝えなければいけないときにはうまく言えたためしがなく、アタフタしては落ち込むばかりです。

そんな恋愛偏差値低めな私が憧れる、スマートな愛の伝え方を描いているのが、第89回アカデミー賞作品賞・脚色賞・助演男優賞に輝いた『ムーンライト』です。その中のあるシーンで描かれた、一途でロマンティックな気持ちの伝え方に深く感銘を受けました。マイアミの貧困地域で暮らす黒人少年シャロンの半生を、幼少期・少年期・青年期の3つの時代に分けて描いたこの作品は、様々な社会的問題を内包していますが、普遍的なラブストーリーとしても楽しむことができます。

幼少期から家庭や学校に居場所がなかったシャロンが心を許していた数少ない存在が、常に自分の味方でいてくれた親友のケヴィンでした。少年期のシャロンとケヴィンは、友達以上に心を通わせるも、ある出来事をきっかけに離れ離れとなってしまいます。

劇中特に印象的なのが、大人になったシャロンとケヴィンが再会するシーンです。その場所は、ケヴィンの働くダイナー。シェフになった彼は、久しぶりに会ったシャロンのためにキューバ料理を丁寧に作ります。さらに、店のジュークボックスからBarbara Lewis(バーバラ・ルイス)がR&Bチャート・No. 1を飾ったヒット曲『Hello Stranger(ハロー・ストレンジャー)』をかけます。「Hello Stranger」とは、「久しぶりだね」という挨拶でもある言葉。店内に流れたその曲の歌詞は、「どうして連絡をしてきた?」というシャロンの問いへの返答、そして自身の彼への想いを代弁するかのようなものでした。

仲違いした恋人に謝りたいときや、素直になりたいとき、信じてほしくて重ねる言葉が空回りしてしまうとき。そんなときには、言葉でだけではなく、自分の気持ちにピッタリの歌や、心を込めて作った食事の力を借りて、気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。

愛をもっと深めたいあなたへ
FEATURED FILM
監督・脚本:バリー・ジェンキンズ
出演:トレヴァンテ・ローズ、アシュトン・サンダース、アレックス・ヒバート、マハーシャラ・アリ、ナオミ・ハリス
第89回アカデミー賞での作品賞・脚色賞受賞をはじめ、様々な映画祭・映画賞で高評価を得たドラマ。マイアミの貧困地域で、麻薬常習者の母と暮らす少年が成長する姿を、3つの時代に分けて追う。監督は短編やテレビシリーズを中心に活動してきたバリー・ジェンキンズで、8年ぶりの長編映画2作目となる本作で一気にメジャーな存在に。またそれぞれ異なる時代の主人公を演じたトレヴァンテ・ローズやアシュトン・サンダースも本作をきっかけに、オファーの絶えない人気俳優となった。製作陣にはブラッド・ピットも名を連ねる。
PROFILE
ライター
安多香子
Takako Yasu
滋賀県生まれ。相撲と映画とビールをこよなく愛する30歳。編集プロダクション勤務を経て、現在はライティングや編集の仕事に携わる。
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