PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば
人類の進化。

大下ヒロトのいつかの君とつながりたい。第14回

人類の進化。

SNSで最新情報をチェック!
(Instagramで発信する「大下ヒロトの青春日記」が話題の俳優・大下ヒロトさん。映画好きな大下さんが、隔月でテーマに馳せる思いと映画を綴るコラム。こんな時だからこそ、気持ちだけでも遠くへ行きたいあなたへ、今月のテーマは「家で考えていたこと」です。)

2020年 4月27日。アメリカ国防総省は、米海軍のパイロットが「未確認の空中現象」に遭遇した様子を映した3本の動画を、機密解除し、正式公開した。
一昔前まで、UFOなんて都市伝説の中の話だったが、日本でも今回のことを受けて国会で話が出ているくらいだ。

ただし、必ずしも、UFOが地球外生命体を証明するものとは、限らない。

これはあくまで僕の意見なのだが、UFO は地球外生命体ではなく、地球の人類のテクノロジーが進化した、その先、だと思っている。僕らが1番身近な、スマートフォン。これだって、今では当たり前のような物になったけど、昔の人からすると想像も出来なかった事だと思う。だから、これから僕らも想像すらできないものが発明されたりすると思う。例えば、何千年後の飛行機がUFOの形だったり、それが、時空を超えられたり。可能性はゼロではないのだ。

僕はSF映画が好きだ。未来、過去、そして今。全ての時間軸において、存在する常識的な 考えを、見つめ直すことが出来るから。

映画『2001年宇宙の旅』は、最初の30分が、猿の映像だ。謎の黒石板が突然現れ、猿がそれを触れる事により、知能を得て、動物の骨を武器にして狩りをしたり、戦ったりということを覚える。人類の誕生だ。 映像は、宇宙空間へと移り変わり、人類は木星探索に出ている。 ここで起きるのは、人工知能であるコンピューターHALLの反乱。人工知能の進化によって、人類が窮地に追いやられるのだ。この映像を見たときに、フィクションとは分かっていても 本当にこんな未来がやってきてしまうのではないかという、恐怖を感じた。それくらい、 監督であるスタンリー・キューブリックの作り方は、繊細で、リアリティがあった。
そして、最近『あやつり糸の世界』という映画を観た。設定は近未来。人類は「シミュラクロン」というコンピューターを作り出した。 それは、コンピューターの中で人間が住まう仮想世界を作り出し、未来社会を厳密に予測できるようにしたのだ。研究主任であるシュテイラー博士はこう言う「データの中にいる人間は、僕らと同じ様に感覚や知性を持つ。これは人類が生み出した小宇宙なのだ。この宇宙に対して特定の刺激を与えれば、反応が返ってくる。つまり20年後の未来だって分かるのだ」。

物語は進み、シュテイラー博士の周りでは奇妙な出来事が起きる。急に、システムの警備をしていたラウゼ保安課長が消えたのだ。それも、自分以外の周りの人はラウゼの存在自体忘れている。 そして、シュテイラー博士は自分自身が「シミュラクロン」の仮想世界に入る。そこは、現実世界とそっくりの虚構空間で、消えたラウゼを発見する。さらに、すべての真実を知っているアインシュタインという人物と会う。彼は現実世界と仮想世界をうまく行き来し、ある野望を抱く。「俺は人間になりたい、これが第一歩。次の二歩目で現実世界だ。あんたが思うこの世界も、ただのコンピュータの中のデータにすぎないのさ」

ここで前編が終わる。自分が、現実世界だと思って生活していた世界が、実はデータかもしれない。1時間半かけて、日常が一気に崩壊するのだ。とてつもなく怖かった。

良い悪い、は置いといて、今の僕らの世界でも仮想世界というものは徐々に浸透し始めて いると思う。わかりやすく例えると、VR。

VR の進化とインターネットの進化を考えれば、VR の中に、もう一つの世界を作り出す事だって可能だと思う。『レディ・プレイヤー1』なんてまさにその世界。僕が思うに、あと20年のうちに、絶対、「VR 浮気」って言葉が世の中に生まれると思う。もう意味がわからない。

コロナウィルスの自粛期間中、僕は、これからの未来、人と会うことが、徐々に少なくなってしまうんじゃないかと不安になっていた。オーディションはリモートオーディション。 友達とも会えずに、飲み会もリモート飲み会。この家から出ないという生活により、今までの当たり前の生活が、画面越しでもある程度成立してしまうことが分かり、そしてそれ に慣れてしまうのではないかと思った。 誰かは、これを便利だと言う。果たしてそれは便利なのだろうか? 誰かは、これを人類の進化という。果たしてこれは進化なのだろうか? 自粛期間が一応終わり、僕は友達とソーシャルディスタンスの距離を保ち、公園で一晩中話した。朝になって、近くの丘で朝日を見た。本当に時間が一瞬で過ぎた。こんなにも人と話すのは楽しかったのか。こんなにも朝日は綺麗だったのか。どれだけ、時代が変わっていったとしても、人と自分の体を使って、会う、ということは絶対に無くなってはいけないと、僕は思った。

いつか、全てバーチャル上で済んでしまう日常がやってくるかもしれない。しかし、人類の進化といわれるものと同時に、「悲しいことも存在すること」をもっと考えていきたい。
以前、近所の立ち飲み屋で飲んでいたら、酔っ払ったアメリカ人に「100年後の未来はどうなっていると思う?」と聞かれたことがある。僕は、「自由なコミュニケーションが無くなってしまうんじゃないかと不安に思っているし、その為に、もっと考えていく必要がある」と答えた。
それから、僕らはお互いの思いを、片言の日本語と英語で話した。
「私には、2歳の娘がいる。娘の時代を作っていくのは君のような若い人たち。信頼している。強くなれ。」と言われた。その通りだ。次の時代を作っていくのは、確実に僕らだ。身体のコミュニケーションを大切にして、笑いも怒りも、すべて、直接共有していきたい。僕らは笑いながら、ありがとうと握手をして別れた。僕にとって一番きれいな、時間だった。

RANKING
  1. 01
    三浦春馬 インタビュー
    「普通の人」ってどんな人?
    三浦春馬がヒントを求めた先は、動物園!
  2. 02
    吉野北人(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE) インタビュー
    ステイホーム中に、吉野北人が見つめ直した「なりたい自分」と「自分を磨く映画」
  3. 03
    嗚呼、こんなにも魅惑的な登場人物たち! 第2回
    理解できない! それなのに、危険な存在に惹かれてしまう怖さって?
  4. 後戻りのできない空の色 『彼女がその名を知らない鳥たち』 04
    映画の余韻を爪にまとう 第1回
    後戻りのできない空の色
    『彼女がその名を知らない鳥たち』
  5. 今ここで何を感じ、考えたか。 言葉に頼らない挑戦の先にある、存在表明。 05
    森山未來 インタビュー
    今ここで何を感じ、考えたか。
    言葉に頼らない挑戦の先にある、存在表明。
  6. 恐怖に魅せられて…。聞いたら最後、誰かに伝えずにはいられない「こわ〜い話」の魅力って!? 06
    乙一(監督:安達寛高)×『怪と幽』編集長 似田貝大介
    恐怖に魅せられて…。聞いたら最後、誰かに伝えずにはいられない「こわ〜い話」の魅力って!?
  7. “好き”が深いからこそ見える世界がある!鉄道ファンの漫画家が楽しむ映画とは? 07
    DVD棚、見せてください。第27回
    “好き”が深いからこそ見える世界がある!鉄道ファンの漫画家が楽しむ映画とは?
  8. 多部未華子が“恋する”人と映画 08
    多部未華子 インタビュー
    多部未華子が“恋する”人と映画
  9. 映画を通じて、未知の自分を探求する。市川実日子はそこで“本来の自分”の姿に出会った 09
    市川実日子 インタビュー
    映画を通じて、未知の自分を探求する。市川実日子はそこで“本来の自分”の姿に出会った
  10. 映画好きなら誰もが一度は触れている、大島依提亜さんのデザインの秘密にせまる! 宝物のようにとっておきたくなるポスター・パンフレットとは? 10
    グラフィックデザイナー 大島依提亜 インタビュー
    映画好きなら誰もが一度は触れている、大島依提亜さんのデザインの秘密にせまる!
    宝物のようにとっておきたくなるポスター・パンフレットとは?
PROFILE
俳優
大下ヒロト
Hiroto Oshita
1998年生まれ、岐阜県出身。オフィス作所属の俳優。2016年に上京し、翌2017年、映画『あみこ』でデビュー。同作が第 68 回ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品、ぴあフィルム・フェスティバル(PFF)にて観客賞、下北沢映画祭グランプリを受賞するなど話題に。近作に、映画『アイネクライネナハトムジーク』、『転がるビー玉』、ドラマ『電影少女-VIDEO GIRL MAI 2019-』』(TX系)、『ストロベリーナイト・サーガ』#11、12(CX系)、『TWO WEEKS』(KTV・CX系)、『美食探偵 明智五郎』#1、2をはじめ、映画・TV・ミュージックビデオなどに出演。
デビュー前よりInstagramで公表している「大下ヒロトの青春日記」が話題を集めている。
Instagram: @hiroto_mitsuyo
シェアする