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どうしても語らせてほしい一本 「映画でお出かけ、旅気分!」

「今振り返っても、社会人生活で一番辛い日々でした」あのときの僕に“楽園”の見つけ方を教えてくれた映画『ザ・ビーチ』

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(C)2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
ひとつの映画体験が、人生を動かすことがあります。
「あの時、あの映画を観て、私の人生が動きだした」
そんな自分にとって特別な、そして誰かに語りたい映画体験記。
今回のテーマは「映画でお出かけ、旅気分!」です。
よく人生は旅に例えられます。かのスティーブ・ジョブズは「旅の過程にこそ価値がある」という言葉を残しました。なかなか気軽に外出できない今だからこそ、映画で世界を巡りながら、自分の人生の旅に出てみてはいかがでしょうか? そこに新たな変化へのヒントがあるかもしれませんよ!

「今振り返っても、社会人生活で一番辛い日々でした」

昨年、スポーツ業界を志す就活生に向けて、セミナー授業を担当したときに発言した言葉です。僕は現在、スポーツの魅力を伝えるメディアやアスリートをマネジメントする職に就いていますが、学生時代は就活生同様、社会人になったら、国境を越えて一体感を生み出すことのできるスポーツ業界に入って、自分の好きなことを仕事にしたいと意気込んでいる青年の一人でした。

色々な出会いやめぐり逢いのおかげで、多少の遠回りをしながらも、憧れのスポーツ業界に入社できました。それも学生時代から続けていたサッカーに特化したJリーグチームのフロントスタッフに。大きな志と根拠のない自信を胸に、活躍するイメージを持って、夢への扉を開けました。

しかし、憧れの世界は、そんな甘いものではなかったのです。競争意識の高いプロスポーツ世界でのプレッシャーに負け、毎日毎日先輩にダメ出しをされて精神的に参ってしまい、心まで病んでしまいました。今振り返ると、「受け身も知らないで柔道をしている」ような状態でした。投げられた衝撃をそのままに受けてしまい、痛がっているような(笑)。

憧れの世界での挑戦は、何の爪痕を残せずに1年半弱で自らの手で扉を閉めてしまいました。「今振り返っても、社会人生活で一番辛い日々でした」は、まさにこの時の日々をリアルに伝えるため発した言葉です。

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これから、自分は何を目指してどう歩んでいくのかを、自問自答する日々が始まりました。そんな時に出会ったのが、『ザ・ビーチ』(2000)です。『タイタニック』(1997)で一世を風靡したレオナルド・ディカプリオが、次に何に出るかという周囲の期待の中、100本以上のオファーを蹴ってまで出演を決めた作品です。僕は、現実逃避も兼ねていましたが、「何かヒントを掴めるのはないか?」と自分の心に響く気付きの言葉を探すため、漫画や映画、音楽ライブなどに積極的に触れていたのです。

『ザ・ビーチ』は、自由を求めて未開の地へ冒険する主人公・リチャードを通して、現実感を喪失した現代のリアルな若者像を描いています。彼の“楽園”探しの旅は、自分自身の居場所を探し求める旅でもありました。

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レオナルド・ディカプリオ演じるリチャードは、ラストにこう語ります。

「今でも楽園はあると信じている。でも、探し求める場所ではない。何故ならどこへ行くかってことではないから。楽園とは、大切な瞬間に心で感じる場所。その瞬間を見つけたら、それは永遠に残る。」

僕も会社という場所に“楽園”を求めていたのかもしれない…、映画を観てそんな思いが湧き上がりました。その思いを携え、僕は大切な瞬間を「心で」感じられる場所や人を求めてるようになりました。すると次第に、人との出会いが僕の心を育て、縁が機会を引き寄せ、挑戦こそが自分の人生を彩ってくれるようになっていったのです。その結果、スポーツメーカー(国内、外資)、スポーツメディア、アスリートマネジメントと、年々多義に渡って活動の場が広がっていきました。失意と栄光を繰り返しながら、それぞれのゴールである“楽園”に向かうアスリートの生き様を伝えることが、自分なりのスポーツと関わる道だということを、「感じる」中でわかっていったのです。

その思いを胸に、現在も日々邁進しています。 2020年4月の現在、新型コロナウイルスの影響は、スポーツ界にも大きなダメージを与え、東京五輪をはじめとした様々なスポーツの大会が延期や中止を余儀なくされています。しかし、いつの日かコロナ危機の終息を迎えた世界の人々にとって、これから開催されるすべてのスポーツ・スポーツイベントが、さらにそれぞれにとって特別な瞬間となり、心の奥底に刻まれる“楽園”となると、「スポーツアスリートの生き様を伝えること」に“楽園”を見つけた僕は信じています。

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PROFILE
ライター・プロデューサー
池田鉄平
Ikeda Teppei
Jリーグ、国内、外資系のスポーツメーカー勤務を経て、ウェブメディアを中心に活動し、アスリートのマネジメント担当。音楽一家で育ち、アーティストとしてインディーズでアルバムリリースも経験。
スポーツ、音楽、エンタメを中心に取材活動を行っている。
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