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どうしても語らせてほしい一本「心を温めたいときに観る映画」

日々の選択を、愛ある方へ。自分を大切にするための映画『パパが遺した物語』

パパが遺した物語
©2014 FATHERS & DAUGHTERS NEVADA, LLC. ALL RIGHTS RESERVED
ひとつの映画体験が、人生を動かすことがあります。
「あの時、あの映画を観て、私の人生が動きだした」 そんな自分にとって特別な、そして誰かに語りたい映画体験記。
今回のテーマは、「心を温めたいときに観る映画」です。
今回の語り手
ライター
佐藤伶
Rei Sato
1995年神奈川生まれ。フリーのライター・編集者。RIDE MEDIA&DESIGNにてWEBマガジンの編集を経験した後、「どうせ働くなら人の生きづらさを溶かすものがいい」と一念発起しフリーランスへ。現在は社会課題に特化したPR会社morning after cutting my hairに所属しながら、物書き・編集・PRを行う。

心を温めたいときに観る映画

恋愛に悩んだとき「その人といる自分が好きかどうかで決めるといい」という言葉をもらったことがあります。それは身を削るような恋なのか、それとも自分の新しい一面にも気づかせてくれるような愛なのか。私は後者を選ぶ人生を送りたいですし、私の大切な人もそうであってほしいと願って止みません。

私は心が疲れているな、心を温めたいなと感じるとき、自暴自棄になってしまうことが 多いように感じます。

たとえば、体に良くないとわかっているのに、ジャンクフードばかり食べてしまったり、自分のことを大切に想ってくれない人たちの場所に自ら足を運んでしまったり…。

自分のことを大切にできない、むしろ自分から自分を傷つけに行ってしまっているような感覚があるのです。そんなとき、決まって観るのが『パパが遺した物語』(2015)という映画。失いかけていた自分への愛、他人からの愛情に気づかせてくれる、私にとってとても大切な一本です。

物語は、家族3人がドライブ中、交通事故にあうところから始まります。父親のジェイクと娘のケイティはなんとか命を取り留めましたが、妻はかえらぬ人に。ケガから退院したジェイクは、ケイティの前では明るく振る舞うのですが、実は事故の後遺症を患い、発作に苦しむようになっていました。

その後、ケイティの子ども時代と25年後の姿を交互に描きながら物語は進み、ジェイクの身に何があったのかが、徐々に明らかになっていきます。

25年後のケイティは「誰でもいいから」と、共に夜を過ごす相手を探しに街へ出る日々を送るようになっていました。一時的な性的関係を結ぶことで心の隙間を埋めようとしているのです。

親を亡くした経験によって染みついてしまった、愛する人が目の前から消えてしまう恐怖。誰かを愛することも、誰かに愛されることにも怯えているケイティの姿に胸を締め付けられます。

しかし、とある一曲が自暴自棄になったケイティを救うことになります。彼女が夜の相手を探しに出かけたバーでその曲が流れた瞬間、過去の大切な思い出たちが溢れ出すのです。それは、父親ジェイクとその曲に合わせて歌って踊って、たくさん笑った幼少期の記憶。私が必ず号泣してしまう場面です…。その後、ケイティはそのバーを後にし、自分のことを心から愛してくれた元恋人の元に帰っていくのです。

パパが遺した物語
©2014 FATHERS & DAUGHTERS NEVADA, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

私はこの映画を観てから、自分を大切にできる道を選択することが少し上手になった気がしています。昔は仕事に対しても人間関係に対しても、自分の自信のなさを埋めてくれるような刺激を求めていました。でも、それは一見きらびやかに見えて、実は心の隙間をますます大きくしてしまうことに気づいたのです。

自分を大切にするチャンスは日常にたくさん転がっています。少しでも体を気遣った食事をすることもそうですし、自分のためだけの時間をとって映画を観ることも小さなご自愛かもしれません。

何か意思決定をするときに、愛ある方を選ぶ。その積み重ねがより素敵な人生に導いてくれると信じています。

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BACK NUMBER
FEATURED FILM
監督:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ラッセル・クロウ、アマンダ・セイフライド、アーロン・ポール、ダイアン・クルーガー、クヮヴェンジャネ・ウォレス、ジェーン・フォンダ、オクタヴィア・スペンサー、カイリー・ロジャーズ

発売中
¥1,257(税込)
発売・販売元:ギャガ
©2014 FATHERS & DAUGHTERS NEVADA, LLC. ALL RIGHTS RESERVED
過去のトラウマから、愛を見失ってしまったケイティ。自暴自棄な日々を過ごし、人と深い関係を築くことを避けてきた彼女は、ある日、作家だっ たケイティの父ジェイク・デイヴィスの大ファンだという青年キャメロンと出会い、恋に落ちる。ケイティは過去と向き合い、新しい人生に踏み出そうとするが…。次第に明かされていく過去の事件と、あまりに純粋な父と娘の愛の物語。そしてケイティに遺された、父の最後の小説とは―。
PROFILE
ライター
佐藤伶
Rei Sato
1995年神奈川生まれ。フリーのライター・編集者。RIDE MEDIA&DESIGNにてWEBマガジンの編集を経験した後、「どうせ働くなら人の生きづらさを溶かすものがいい」と一念発起しフリーランスへ。現在は社会課題に特化したPR会社morning after cutting my hairに所属しながら、物書き・編集・PRを行う。
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