PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば

映画の言葉『ギルバート・グレイプ』ベッキーのセリフより

「“大きい”なんて言葉は 空には小さすぎるわ 空を表すにはもっと大きな言葉を」

TM & © MCMXCIII by Paramount Picture Corporation. All Rights Reserved.
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

“大きい”なんて言葉は
空には小さすぎるわ
空を表すには
もっと大きな言葉を

By ベッキー

『ギルバート・グレイプ』より

自分にとって本当に大切なものは、自分で理解しているつもり。でも、周囲の声や余裕のない毎日の中で、だんだん輪郭がぼやけてしまうことがあります。自分の行動や考えに自信が持てなくなってしまった時、あなたはどうやってそれを確かめますか?

映画『ギルバート・グレイプ』の主人公・ギルバート(ジョニー・デップ)は、アイオワ州の田舎町に建つ一軒家で、夫を亡くしたショックで過食症になった母・ボニー(ダーレン・ケイツ)と弟のアーニー(レオナルド・ディカプリオ)、姉・エイミー(ローラ・ハリントン)、妹・エレン(メアリー・ケイト・シェルハート)とともに、暮らす青年です。一家の大黒柱のような存在として家族の世話に追われ、衰退する田舎町の片隅で悶々とした日々を過ごしています。

自分に向き合う余裕もないギルバートは、ある日、トレーラーでアメリカ全土を旅しているベッキー(ジュリエット・ルイス)に出会います。周囲の目や家族にとらわれず自由に生きるベッキーは、「外見の美しさなんてどうでもいい。何をするかが大事」とギルバートに伝えます。そして、「ゆっくり変わっていく様子が素敵」と夕焼けを見て心を震わせるのです。空って大好きとつぶやいた彼女に合わせて、ギルバートも空を「とても大きい」と表現しますが、ベッキーはこう返します。

「“大きい”なんて言葉は 空には小さすぎるわ 空を表すにはもっと大きな言葉を」

ギルバートにとって「この街の夕焼け」は、代わり映えしない“いつもの風景”だったことでしょう。ですが、表現のされ方によって、一緒に見る人によって、感じ方が大きく変わるという事実に驚いたのではないでしょうか。彼女と過ごす時間は、ギルバートにとって自分を見つめる時間になり、一人で抱えていた心のしがらみを少しずつ打ち明けられるようになっていくのです。

心の平穏を守るために、自分の感じたことを「言わない」、自分の感情を「表に出さない」という選択肢が必要な時もあるでしょう。しかし、あまりにも心の中に閉じ込めてばかりいると、本当は何を思っているのか、何を大事だと思っているのかわからなくなり、人生の道筋を見失ってしまうことにもなりかねません。周りの声や社会の風潮に押し流され、自分の大切なものを見失いそうになった時は、大切な人と、自分の気持ちや本音についてじっくりと分かち合う時間を作るのがいいかもしれませんね。

大切な人と、美しいものを見ながら「今、何がしたいのか」語り合ってみてはいかがでしょうか。

PINTSCOPEでは隔週で「映画の言葉」をお届けしています。
ぜひ、Twitter公式アカウントをフォローして「心の一本」を見つけに来てください。

あわせて読みたい
BACK NUMBER
FEATURED FILM
「12ヶ月のシネマリレー」の第一弾上映作品

出演:ジョニー・デップ、レオナルド・ディカプリオ、ジュリエット・ルイス
監督:ラッセ・ハルストレム
原作・脚本:ピーター・ヘッジズ
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
© MCMXCIII by Paramount Picture Corporation. All Rights Reserved.
アイオワ州の小さな町、身動きできないほど太った過食症の母と知的障害を持つ弟の世話に明け暮れる青年ギルバート。ある日、トレーラーで旅する自由な少女と出会い、自分の人生を見つめ直す姿を描いたヒューマンドラマ。ハルストレム監督のハリウッド進出2作目。アカデミー賞®助演男優賞にノミネートされたL・ディカプリオの好演が光る。
INFORMATION
12ヶ月連続 名作上映プロジェクト
「12ヶ月のシネマリレー」
いままでも、これからも。
決して色褪せない12本の名作とともに巡る12ヶ月。
<映画館>という最高の環境で”一期一会”の体験をー。

20世紀後半、映画の黄金時代に生まれた輝かしい名作を月替わりでお届けする、異例の12ヶ月連続上映プロジェクト<12ヶ月のシネマリレー>。
この新たな企画では、レストア版・劇場未公開・国内最終上映を含めた、未来へ継ぐべき貴重な12作品をセレクト。巡る季節を味わうように1ヶ月に1作品ずつ、<映画館>だからこそ出会える”一期一会”の体験を。
RANKING
  1. 01
    松山ケンイチ×満島ひかり インタビュー
    失ってもなお、
    自分を導いてくれるもの
  2. 02
    映画を観た日のアレコレ No.74
    Bialystocks
    甫木元 空の映画日記
    2022年10月25日
  3. 03
    嗚呼、こんなにも魅惑的な登場人物たち! 第16回
    スカーレットはいじわるキャラ?女性が自分で人生を決め、自分の力で生き抜くということ『風と共に去りぬ』
  4. 映画で世界を旅しよう! 名作旅映画・ロードムービー13選 04
    おすすめ旅映画・ロードムービー特集
    映画で世界を旅しよう!
    名作旅映画・ロードムービー13選
  5. 自分を閉ざさなければ、 「光」は見える。 暗闇の中でも 05
    milet(ミレイ) インタビュー
    自分を閉ざさなければ、
    「光」は見える。 暗闇の中でも
  6. 自分を取り繕わない。 それが関係性を前に進めてくれる 06
    前田敦子×根本宗子 インタビュー
    自分を取り繕わない。
    それが関係性を前に進めてくれる
  7. 揺らいでいるからこそ、考える。 信じられるものは、どこにあるのか 07
    磯村勇斗×宇野祥平 インタビュー
    揺らいでいるからこそ、考える。
    信じられるものは、どこにあるのか
  8. 男性はなぜ「向き合う」ことから逃げるのか。ハンドルを譲った家福の変化が表していたもの 08
    桃山商事のシネマで恋バナ 第2回 【後編】
    男性はなぜ「向き合う」ことから逃げるのか。ハンドルを譲った家福の変化が表していたもの
  9. 過去の経験にしがみつかない。 常に新しい自分でいるために 09
    石原さとみ インタビュー
    過去の経験にしがみつかない。
    常に新しい自分でいるために
  10. 切なくて、痛くて…胸が張り裂けそうになる! オススメ映画4選 10
    編集部おすすめ!「胸が苦しくなる映画」特集
    切なくて、痛くて…胸が張り裂けそうになる! オススメ映画4選
シェアする