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映画の言葉『超高速!参勤交代』お咲のセリフより

「同じ人間なんだよ」

超高速!参勤交代
©2014「超高速!参勤交代」製作委員会
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

同じ人間なんだよ

By お咲

『超高速!参勤交代』より

ときに喜劇は、人生において本当に大切なことを教えてくれます。

時代劇『超高速!参勤交代』は、江戸幕府から「5日で参勤交代せよ」と無茶を言われて大慌てする、陸奥国磐城の湯長谷藩(ゆながやはん)を描いたコメディです。従わなければ藩が取り潰しになってしまうため、藩主たち8名はお金も時間もない中で秘策を練りながら何とか江戸に辿り着こうと出発します。

佐々木蔵之介が演じる藩主の政醇(まさあつ)は私欲がなく温厚。公平な視線を持ち、部下を絶対的に信頼しつつ全責任は引き受けるという理想的なリーダーです。しかし、途中で立ち寄った旅籠で、深田恭子演じるお咲という女性の悲惨な身の上話を聞いて、政醇は大きなショックを受けました。それは、貧乏藩として幕府に搾取されている自分たちだって、間接的に誰かを搾取して生きているという現実に気付いたからです。

「同じ人間なんだよ」

クライマックスでお咲はこう叫びます。飯炊き女だって、将軍だって、貧乏侍だって、みんな同じ人間。ユニークなドタバタ時代劇が、私たちを笑顔にしながらこの言葉を通して教えてくれるのは、歪んだ社会構造の犠牲になっている人々の存在と、「人はみんな平等」ということ。それは、世界中で格差や差別の問題が吹き荒れるいま、絶対に忘れてはいけない何よりも大切なメッセージではないでしょうか。

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FEATURED FILM
超高速!参勤交代[Blu-ray]
監督:本木克英
脚本:土橋章宏
音楽:周防義和
キャスト:
佐々木蔵之介/深田恭子/伊原剛志/寺脇康文/上地雄輔/知念侑李/柄本時生 /六角精児/市川猿之助/石橋蓮司/陣内孝則/西村雅彦

2014年11月12日リリース
発売元・販売元:松竹株式会社
©2014「超高速!参勤交代」製作委員会
江戸期、八代将軍・徳川吉宗の時代。1万5千石の小藩・磐城国湯長谷藩に存在するという金山略奪を狙い、江戸幕府が無理難題を吹っ掛ける。「5日以内に参勤交代しなければ、藩を取り潰す!」。金も時間もない湯長谷藩。参勤交代を果たし、無事に藩を守ることができるのか?!
通常ならば、準備に半年、8日はかかる道のり・・・しかも貯えも尽きている。しかしこの命令に従わなければ藩はお取り潰しに!藩主・内藤政醇は、忍び雲隠段蔵を道先案内役として雇い、家臣の精鋭6名を引き連れ、道中人のいないところでは山道を駆け抜ける奇想天外な作戦にでる。
しかし、老中・松平信祝も刺客の忍びを雇い、参勤交代の邪魔をもくろんでいた。金に目が眩んだ幕府に立ち向かい”とんでもない”知恵を使って参勤交代を達成しようとする貧乏小藩が巻き起こす、究極の痛快歴史エンターテインメントが誕生した!
PROFILE
映画・演劇ライター
八巻綾
Aya Yamaki
映画・演劇ライター。テレビ局にてミュージカル『フル・モンティ』や展覧会『ティム・バートン展』など、舞台・展覧会を中心としたイベントプロデューサーとして勤務した後、退職して関西に移住。八巻綾またはumisodachiの名前で映画・演劇レビューを中心にライター活動を開始。WEBサイト『めがね新聞』にてコラム【めがねと映画と舞台と】を連載中。
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