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映画の言葉『さくら』長谷川薫のセリフより

「困った顔でも、腑に落ちなくても、誰かが泣いていても、怒っていても、サクラはしっぽを振る」

映画の言葉『さくら』
©西加奈子/小学館 ©2020 「さくら」製作委員会
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

困った顔でも、腑に落ちなくても、誰かが泣いていても、怒っていても、サクラはしっぽを振る

By 長谷川薫

『さくら』より

どんなときも、変わらずにそこにいてくれる存在に、心が救われたことはありませんか?

映画『さくら』は、直木賞作家・西加奈子の同名ベストセラー小説を矢崎仁司監督が映画化した作品です。本作は、長谷川家という、あるひとつの家族の変化を描きます。長谷川家は5人と1匹、長男・ハジメ(吉沢亮)、次男・薫(北村匠海)、末っ子・美貴(小松菜奈)、両親(永瀬正敏・寺島しのぶ)、そして愛犬・サクラ、からなる家族です。平凡な日々を送っていた長谷川家でしたが、ある日ハジメが事故にあってしまいます。

顔に大けがを負い、右脚の自由も利かなくなったハジメの生活は一変。昔から学校では人気者、家族の中でもヒーロー的存在だったハジメですが、その面影が感じられなくなってしまうほど自信を無くしてしまいます。ハジメのやるせない思いを怒りに変える姿に、家族もだんだんと疲弊していくのです。

そんな中、唯一変わらない存在が愛犬のサクラでした。

「困った顔でも、腑に落ちなくても、誰かが泣いていても、怒っていても、サクラはしっぽを振る」。

これは、大学生になった薫が、一人暮らしをする東京から帰省して、サクラの散歩をしている時のモノローグです。家族に何が起こったとしても、彼らの運命が残酷に変わったとしても、どんなときも変わらずにそこにいてくれるサクラは、長谷川家にとってかけがえのない存在なのでした。

日々大きく変化することを求められる今、もちろん「変わる」ことも必要ですが、それと同じぐらい「変わらない」ことも必要なのかもしれません。そして、それはあなただけでなく、他の誰かにとっても大切な可能性があります。今一度、あなたにとって「変えたくない」大切なものを考えてみるのもいいかもしれませんよ。

BACK NUMBER
FEATURED FILM
さくら [DVD]
出演:北村匠海、小松菜奈、吉沢亮、小林由依(欅坂46)、水谷果穂、山谷花純、加藤雅也、趙珉和、寺島しのぶ、永瀬正敏
原作:西加奈子「さくら」(小学館刊) 
監督:矢崎仁司 
脚本:朝西真砂 
音楽:アダム・ジョージ 
主題歌:東京事変「青のI D」(EMI Records/ユニバーサル ミュージック)

2021年5月12日リリース
発売元:テレビ東京・小学館 販売元:松竹
©西加奈子/小学館 ©2020 「さくら」製作委員会
音信不通だった父が2年ぶりに家に帰ってくる。スーパーのチラシの裏紙に「年末、家に帰ります」と綴られた手紙を受け取った長谷川家の次男・薫は、その年の暮れに実家へと向かった。母のつぼみ、父の昭夫、妹の美貴、愛犬のサクラとひさびさに再会する。けれど兄の一(ハジメ)の姿はない……。薫にとって幼い頃からヒーローのような憧れの存在だったハジメは、2年前のあの日、亡くなった。そしてハジメの死をきっかけに家族はバラバラになり、その灯火はいまにも消えそうだ。その灯火を繋ぎ止めるかのように、薫は幼い頃の記憶を回想する。それは、妹の誕生、サクラとの出会い、引っ越し、初めての恋と失恋……長谷川家の5人とサクラが過ごしたかけがえのない日々、喜怒哀楽の詰まった忘れたくない日々だ。やがて、壊れかけた家族をもう一度つなぐ奇跡のような出来事が、大晦日に訪れようとしていた─。
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