PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば

映画の言葉『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』のセリフより

「私たちは一組の古い靴下みたいね」

©2016 Small Shack Productions Inc./ Painted House Films Inc./ Parallel Films (Maudie) Ltd.
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

私たちは一組の古い靴下みたいね

By モード

『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』より

靴下って、よくなくなりませんか? そんなとき、私はいつも途方に暮れてしまいます。片方だけでは履いて外に出ることはできませんから。

『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』は、実在する画家モード・ルイスと、その夫エベレットの歩みを描いた作品です。偏屈なエベレット(イーサン・ホーク)と、重度のリウマチを患う不器用なモード(サリー・ホーキンス)。雇用主と家政婦として出会い、衝突しながらも徐々に関係を深めていって夫婦になった2人は、ささやかな結婚式を挙げます。その夜にモードが呟いたのがこの言葉。この後に「のびてヨレヨレの片方と、穴だらけの片方」と続きます。

エベレットは天涯孤独な上に偏屈で短気。モードは障害と内気な性格のために家族から疎まれ、家の中にいました。それまでずっと世間からはじかれていた2 人は、互いの苦手な部分を補い合い、少しずつ社会と繋がっていきます。さらに、夫のおかげで人としての尊厳を取り戻したモードは絵の才能を自由に開花させていくのでした。

靴下は、片方だけでは不完全です。たった1人の「もう片方の靴下」に出会うことができたモードとエベレット。長い孤独を知っているからこそ2人は互いを慈しみ、真実の愛を知る「一対の靴下」になれたのかもしれません。

PINTSCOPEでは、TOPページで「映画の言葉」を定期的に更新中!

BACK NUMBER
FEATURED FILM
しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス
監督:アシュリング・ウォルシュ(「荊の城」)
脚本:シェリー・ホワイト
出演:サリー・ホーキンス(『シェイプ・オブ・ウォーター』『ブルージャスミン』『パディントン2』)
イーサン・ホーク(『6才のボクが、大人になるまで。』『ビフォア・ミッドナイト』)
カリ・マチェット、ガブリエル・ローズ 
©2016 Small Shack Productions Inc./ Painted House Films Inc./ Parallel Films (Maudie) Ltd.
カナダの小さな港町で叔母と暮らすモードは、絵を描くことと自由を愛していた。ある日モードは、魚の行商を営むエベレットが家政婦募集中と知り、自立のため、住み込みの家政婦になろうと決意する。幼い頃から重いリウマチを患い厄介者扱いされてきたモードと、孤児院育ちで学もなく、生きるのに精一杯のエベレット。はみ出し者同士の同居生活はトラブル続きだったが、徐々に2人は心を通わせ、やがて結婚。 一方、モードの絵を一目見て才能を見抜いたエベレットの顧客サンドラは、彼女に絵の創作を依頼。モードは期待に応えようと、夢中で筆を動かし始める。そんな彼女を不器用に応援するエベレット。いつしかモードの絵は評判を呼び、アメリカのニクソン大統領からも依頼が来て……。
PROFILE
映画・演劇ライター
八巻綾
Aya Yamaki
映画・演劇ライター。テレビ局にてミュージカル『フル・モンティ』や展覧会『ティム・バートン展』など、舞台・展覧会を中心としたイベントプロデューサーとして勤務した後、退職して関西に移住。八巻綾またはumisodachiの名前で映画・演劇レビューを中心にライター活動を開始。WEBサイト『めがね新聞』にてコラム【めがねと映画と舞台と】を連載中。
RANKING
  1. 01
    永野芽郁×タナダユキ監督 インタビュー
    日々を乗り越えていく力
  2. 02
    松山ケンイチ×満島ひかり インタビュー
    失ってもなお、
    自分を導いてくれるもの
  3. 03
    間宮祥太朗 インタビュー
    「えぐみ」のある、キミが好き。
    “あたりまえ”を逆転させた、あなたと映画
  4. 映画で世界を旅しよう! 名作旅映画・ロードムービー13選 04
    おすすめ旅映画・ロードムービー特集
    映画で世界を旅しよう!
    名作旅映画・ロードムービー13選
  5. ケキッキは、ケキッキだ。それで、いいのだ。/『カメラが捉えたキューバ』 05
    水野仁輔の旅と映画をめぐる話 vol.18
    ケキッキは、ケキッキだ。それで、いいのだ。/『カメラが捉えたキューバ』
  6. スカーレットはいじわるキャラ?女性が自分で人生を決め、自分の力で生き抜くということ『風と共に去りぬ』 06
    嗚呼、こんなにも魅惑的な登場人物たち! 第16回
    スカーレットはいじわるキャラ?女性が自分で人生を決め、自分の力で生き抜くということ『風と共に去りぬ』
  7. 極上のお酒を求めて街歩き。まだ知らなかった魅惑の世界へ導いてくれた『夜は短し歩けよ乙女』 07
    どうしても語らせてほしい一本 「映画でお出かけ、旅気分!」
    極上のお酒を求めて街歩き。まだ知らなかった魅惑の世界へ導いてくれた『夜は短し歩けよ乙女』
  8. 覚悟とは、自分の限界値を暴き出すこと。その先にある「信じるもの」に、たどりつくために 08
    仲野太賀×大島優子×若葉竜也×石井裕也監督
    覚悟とは、自分の限界値を暴き出すこと。その先にある「信じるもの」に、たどりつくために
  9. 理解できない! それなのに、危険な存在に惹かれてしまう怖さって? 09
    嗚呼、こんなにも魅惑的な登場人物たち! 第2回
    理解できない!
    それなのに、危険な存在に惹かれてしまう怖さって?
  10. 男性はなぜ「向き合う」ことから逃げるのか。ハンドルを譲った家福の変化が表していたもの 10
    桃山商事のシネマで恋バナ 第2回 【後編】
    男性はなぜ「向き合う」ことから逃げるのか。ハンドルを譲った家福の変化が表していたもの
シェアする