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映画の言葉『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』門出と凰蘭のセリフより

「私たち ちゃんとした大人になれるかな?」
「余裕でなれるよ だってぼくたちはぼくたちなんだから」

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章
©浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

「私たち ちゃんとした大人になれるかな?」
「余裕でなれるよ だってぼくたちはぼくたちなんだから」

小山門出と中川凰蘭の言葉

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』より

新型コロナウイルスの感染が広がったのは数年前。あのとき、想像もしていなかった事態に対して人々が順応していくスピードというのは思った以上に速いのだということに驚いた記憶があります。「非日常」は、意外なほどスムーズに「日常」に変わってしまうのだと。一方で、例え日々の生活としては「非日常」に慣れたとしても、心の奥底にはずっと不安が残り続けるという感覚も、きっと誰もが経験したと思います。

浅野いにおによる同名コミックのアニメ映画化『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』は、地球外侵略者の襲来を受けた東京の数年後を描いた作品です。突如として宇宙船が襲来したことで東京が甚大な被害を受けてから3年。同じ高校に通う幼馴染の門出(幾田りら)や鳳蘭(あの)たちは、恋にゲームに放課後にと賑やかで楽しい日々を過ごしていました。

常に上空に浮遊する巨大な「母艦」と共存する門出たちの世界は、明らかに異常事態かつ人類の危機を感じさせるものです。そんな背景と、じゃれあいながら賑やかに過ごしている「普通の」女子高生である門出たちとのコントラスト。どうしようもなく不穏で、常に不安を煽られているような空気と、若者たちの輝ける未来へのエネルギーが常に画面の中で同居しているという不思議な世界が広がります。

門出「私たち ちゃんとした大人になれるかな?」
凰蘭「余裕でなれるよ だってぼくたちはぼくたちなんだから」

ある人物の写真を眺めながらふたりが交わすこの会話には、未来への圧倒的な不安と、それでも未来を決して諦めないという生への強烈なエネルギーとの強烈な対比が詰まっているように感じました。陰謀論や絶望が渦巻く不安に満ちた世界の中で、自分たちを肯定することで奮い立たせるパワーに満ちた若者たち。いつだって、未来を切り開くのは門出や鳳蘭のような若者たちに違いないのです。

前章である本作に散りばめられた様々な謎の答えは5月24日公開の後章に明かされることになるでしょう。『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』が提示する問いに、あなたもぜひ体当たりしてみてください。

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BACK NUMBER
FEATURED FILM
声の出演:幾田りら あの 種﨑敦美 島袋美由利 大木咲絵子 和氣あず未 白石涼子 入野自由 内山昂輝 坂 泰斗 諏訪部順一 津田健次郎
原作:浅野いにお「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
アニメーションディレクター:黒川智之
シリーズ構成・脚本:吉田玲
世界設定:鈴木貴昭
キャラクターデザイン・総作画監督:伊東伸高
色彩設計:竹澤聡
美術監督:西村美香
CGディレクター:稲見叡
撮影監督:師岡拓磨
編集:黒澤雅之
音響監督:高寺たけし
音楽:梅林太郎
アニメーション制作:Production +h
製作:DeDeDeDe Committee(ギャガ テレビ東京 小学館 ソニー・ミュージックエンタテインメント トイズファクトリー)
配給:ギャガ
前章:3/22(金) 後章:5/24(金)全国ロードショー
©浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee
東京でハイテンション女子高生ライフを送る、小山門出と“おんたん”こと中川凰蘭。
学校や受験勉強に追われつつも 毎晩オンラインゲームで盛り上がる2人が暮らす街の上空には、 3年前の8月31日、突如宇宙から出現し未曽有の事態を引き起こした 巨大な〈母艦〉が浮かんでいた。
非日常が日常に溶け込んでしまったある夜、 仲良しクラスメイトに悲劇が起こる。
衝撃と哀しみに打ちのめされる二人。
そんな中、凰蘭は不思議な少年に出会い「君は誰?」と問いかけられる。
その途端、凰蘭の脳裏に、すっかり忘れていた門出との過去が一瞬にして蘇る――!
PROFILE
映画・演劇ライター
八巻綾
Aya Yamaki
映画・演劇ライター。テレビ局にてミュージカル『フル・モンティ』や展覧会『ティム・バートン展』など、舞台・展覧会を中心としたイベントプロデューサーとして勤務した後、退職して関西に移住。八巻綾またはumisodachiの名前で映画・演劇レビューを中心にライター活動を開始。WEBサイト『めがね新聞』にてコラム【めがねと映画と舞台と】を連載中。
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