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映画の言葉『恋人たち』黒田大輔のセリフより

生きづらい世の中を生きる。皆で乗り越えたい今贈りたい、映画の言葉。

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©松竹ブロードキャスティング/アーク・フィルムズ
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

腹いっぱい食べて、笑ってたら、
人間なんとかなるからさ

By 黒田大輔

『恋人たち』より

人間ならば誰でも何かしらの悩みを抱えているものです。明るく楽しく生きているように見える人でも、実は途方もない困難の最中にいるかもしれません。橋口亮輔監督『恋人たち』に出てくる人々も、それぞれが人知れず悩みを抱えています。

主人公3人のうちのひとり・アツシ(篠原篤)の妻は、3年前、通り魔事件に遭い死亡しました。犯人が精神鑑定の末に措置入院となったため、損害賠償請求を諦めるように言われてアツシは絶望します。最愛の人を失った上に怒りのやり場さえ奪われたからです。上司の黒田(黒田大輔)は無断欠勤したアツシを心配して家を訪ねましたが、アツシが前を向くためにはもう少し時間が必要でした。

「腹いっぱい食べて、笑ってたら、人間なんとかなるからさ」

これは、その後しばらくもがき苦しんだ末に何とか立ち直り、同僚たちとのBBQに参加したアツシに黒田がかけた言葉です。実は黒田には左腕がありません。腕を失った理由を黒田に尋ねたアツシは、返ってきた衝撃的なエピソードについ笑ってしまいます。ようやくアツシの笑顔を見ることができた黒田は、「笑うのはいいんだよ」と言って微笑みます。食べて笑っていればなんとかなる……黒田のそんな言葉に、アツシは何度も頷くのでした。

2020年は大変な1年になりました。未知の感染症によって生活様式が急激に変化し、誰もが多少なりとも「生きづらさ」を抱えているのではないでしょうか。食べて笑うことすらままならない日々を送っている人もいるはずです。でも、生きてさえいれば、清々しい気持ちで青空を見上げることができる日がきっときます。「食べて、笑ってたら、人間なんとかなるからさ」こう呟き合いながら、この暗いトンネルのような日々を皆で乗り越えていけますように。

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FEATURED FILM
『恋人たち』
原作・脚本・監督:橋口亮輔
製作:井田寛/上野廣幸
撮影:上野彰吾(J.S.C.)
照明:赤津淳一
録音:小川 武
美術:安宅紀史
編集:橋口亮輔/小野仁史
キャスト:
篠原篤/成嶋瞳子/池田良
安藤玉恵/黒田大輔/内田慈/山中崇/山中聡
リリー・フランキー/木野花/光石研

発売・販売元:松竹
©松竹ブロードキャスティング/アーク・フィルムズ
主人公は3人の「恋人たち」。
 通り魔事件によって妻を失った男、そりが合わない姑と自分に関心を持たない夫と暮らす平凡な主婦、同性愛者で完璧主義のエリート弁護士。
 
 東京の都心部に張り巡らされた高速道路の下。アツシ(篠原篤)が橋梁のコンクリートに耳をぴたりとつけ、ハンマーでノックしている。機械よりも正確な聴力を持つ彼の仕事は、ノック音の響きで破損場所を探し当てる橋梁点検。健康保険料も支払えないほどに貧しい生活を送る彼には、数年前に愛する妻を通り魔殺人事件で失ったという、つらく重い過去がある。
 
 郊外に住む瞳子(成嶋瞳子)は自分に関心をもたない夫と、そりが合わない姑と3人で暮らしている。同じ弁当屋に勤めるパート仲間と共に皇族の追っかけをすることと、小説や漫画を描いたりすることだけが楽しみだ。ある日パート先にやってくる取引先の男とひょんなことから親しくなり、瞳子の平凡な毎日は刺激に満ちたものとなる。
 
 企業を対象にした弁護士事務所に務める四ノ宮(池田良)は、エリートである自分が他者より優れていることに疑いをもたない完璧主義者。高級マンションで一緒に暮らす同性の恋人への態度も、常に威圧的だ。そんな彼には学生時代から秘かに想いを寄せている男友だちがいるが、ささいな出来事がきっかけで誤解を招いてしまう。
PROFILE
映画・演劇ライター
八巻綾
Aya Yamaki
映画・演劇ライター。テレビ局にてミュージカル『フル・モンティ』や展覧会『ティム・バートン展』など、舞台・展覧会を中心としたイベントプロデューサーとして勤務した後、退職して関西に移住。八巻綾またはumisodachiの名前で映画・演劇レビューを中心にライター活動を開始。WEBサイト『めがね新聞』にてコラム【めがねと映画と舞台と】を連載中。
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