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映画の言葉『ザ・ファブル』海老原のセリフより

「俺の知ってる命ってのはよ、この理不尽な世界で唯一、平等で大切なもんや」

©2019「ザ・ファブル」製作委員会
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

俺の知ってる命ってのはよ、この理不尽な世界で唯一、平等で大切なもんや

By 海老原

『ザ・ファブル』より

アクション映画を観るとき、モブキャラがガンガン死んでいく光景にスカっとしますよね? でもよく考えたら、それってちょっと怖いことのような気がしませんか? もし目の前で実際に人が死んだら「スカッとした」などとは言っていられないはずなのに、なぜ映画だと軽く楽しめてしまうのでしょうか?

南勝久原作の人気コミックを映画化した『ザ・ファブル』の主人公である天才的な殺し屋(岡田准一)は、ボスから「佐藤アキラ」という仮名を与えられ、1年間の休業と殺人の禁止を命じられます。ボスと繋がりがある大阪のヤクザが管理する家に住み、相棒(木村文乃)と共に「普通に」暮らし始めたアキラでしたが、知り合った女性(山本美月)が事件に巻き込まれてしまい、その救出に向かうことを決意します。

「俺の知ってる命ってのはよ、この理不尽な世界で唯一、平等で大切なもんや」

これは、彼らの世話をするヤクザの海老原(安田顕)がアキラに対して、「お前が思う命ってなんや?」と問いかけた際に語った言葉です。殺し屋とヤクザである2人の会話の中で出た言葉だからこそ、その重みにハッとさせられました。様々な映画の中で、彼らのようなキャラクターは簡単に人を殺してきましたが、「それは本来あっていいことではない」と突き付けられた気がしたのです。

もちろん私は人を殺したことはありませんが、この言葉を聞いてフィクションにおける「死」に対しても、ニュースで伝えられる「死」に対しても、自分がどこか無感動になっていたことを強く自覚しました。命とはかけがえがない大切なもの。簡単に消え去っていい命などない。『ザ・ファブル』の2人のように、いつもそのことは忘れずにいたいです。

◎『ザ・ファブル』原作本

※2021年2月26日時点のVOD配信情報です。

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FEATURED FILM
ザ・ファブル[DVD]
原作:南勝久「ザ・ファブル」(講談社「ヤングマガジン」連載)
監督:江口カン 脚本:渡辺雄介 音楽:グランドファンク
主題歌:レディー・ガガ「ボーン・ディス・ウェイ」(ユニバーサル ミュージック)

出演:
岡田准一
木村文乃 山本美月 
福士蒼汰 柳楽優弥 向井理
木村了 井之脇海 藤森慎吾(オリエンタルラジオ) 宮川大輔
佐藤二朗 光石研 / 安田顕 / 佐藤浩市

2019年12月25日リリース
発売元:松竹 販売元:松竹
©2019「ザ・ファブル」製作委員会
裏社会で「伝説」とまで呼ばれるスゴ腕の殺し屋”ファブル(寓話)”(岡田准一)。仕事をしすぎた彼に、ボス(佐藤浩市)が与えたミッションは、1年間、誰も殺さず、一般人として生きるというものだった。ファブルは、佐藤アキラという偽名を使い、相棒のヨウコ(木村文乃)と共に、生まれて初めて一般人としての生活を始める。殺しを封じ、バイトをしたり、インコを飼ったり、いわゆる《普通》を満喫しはじめた矢先、裏社会の人間たちのトラブルに巻き込まれていく。そしてついに、バイト先の同僚ミサキ(山本美月)までが巻き込まれ拉致されるという事態に。ファブルは、100人を超える敵が待ち構える中、『誰も殺さず人質救出』という無謀なミッションに挑んでいく。
PROFILE
映画・演劇ライター
八巻綾
Aya Yamaki
映画・演劇ライター。テレビ局にてミュージカル『フル・モンティ』や展覧会『ティム・バートン展』など、舞台・展覧会を中心としたイベントプロデューサーとして勤務した後、退職して関西に移住。八巻綾またはumisodachiの名前で映画・演劇レビューを中心にライター活動を開始。WEBサイト『めがね新聞』にてコラム【めがねと映画と舞台と】を連載中。
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