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映画の言葉『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』リサの台詞より

「いい音楽が生まれるのは完璧な時じゃない 誰かを想う時よ」

© MILITARY WIVES CHOIR FILM LTD 2019
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

いい音楽が生まれるのは
完璧な時じゃない
誰かを想う時よ

By リサ

『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』より

コロナ規制がほぼ撤廃されてから、コーラスを始めました。私の息子が通う学校の呼びかけで始まった保護者の活動で、10人ほどが参加しています。(なお、私は欧州在住です)輪になって他のママやパパと声を合わせたり身体を動かしたり。コロナ禍の2年間強には感じられなかった楽しさを感じています。

実話を元に描かれた『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』の主人公は、イギリス軍基地に住む軍人の妻たち。アフガニスタンに派遣されたパートナーを待つ不安な気持ちを支え合うため、彼らは合唱団を結成します。足並みも揃わないし素人ばかり。当初はなかなかスムーズにいかない合唱団でしたが、段々とまとまっていきます。そしてなんと、テレビ中継される戦没者追悼イベントへの出演依頼まで舞い込み……。

私が参加しているような普通のコーラスと異なり、彼女たちのパートナーは戦地にいます。連絡も思うように取れず、安否も不明。いつ悲しい報せを受けてもおかしくない。下ネタでゲラゲラ笑い合う彼女たちの心の奥は、常に張り詰めています。

「いい音楽が生まれるのは完璧な時じゃない 誰かを想う時よ」

これは、リーダーとして合唱団をまとめるリサ(シャロン・ホーガン)の言葉です。彼女たちの合唱はプロ並に上手いわけではありませんが、聴く者の心を捉えます(実在する彼女たち「Military Wives Choirs(“軍人の妻”合唱団)」の曲は2012年にUKチャートの1位を飾ったことがあるほどです)。それは、彼女たちが常にパートナーのことを想っているから。必ずまた笑顔で会いたいと願っているからなのでしょう。

私がいるコーラスクラブのメンバーは国籍もバラバラ。歌の実力もバラバラです。正直、まったく音程が取れていないなと思う人もチラホラ。でも、上手に歌うことが重要ではなく、皆の気持ちをひとつにして楽しむことが1番だと先生は言います。そこに誰かを強く想う気持ちがあれば、きっと「いい音楽」が生まれるはず。リサの言葉に励まされた彼女たちが誇りを持って歌う姿は、すべての歌を愛する人々に感動を与えるに違いありません。

PINTSCOPEでは隔週で「映画の言葉」をお届けしています。
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INFORMATION
『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』
監督:ピーター・カッタネオ
出演:クリスティン・スコット・トーマス、シャロン・ホーガン、ジェイソン・フレミング、グレッグ・ワイズ
配給:キノフィルムズ

ヒューマントラストシネマ渋谷・有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋他全国順次公開中
公式Twitter: @SingASong_movie
© MILITARY WIVES CHOIR FILM LTD 2019
愛する人を戦地に送り出し、最悪の知らせが届くことを恐れながらイギリス軍基地に暮らす軍人の妻たち。大佐の妻ケイト(クリスティン・スコット・トーマス)は、そんな女性たちを元気づけ、共に苦難を乗り越えるための努力を惜しまないが、その熱意は空回りするばかり。そんな中、何気なく始めた“合唱”に、多くの女性達が笑顔を見せ始める。女性達のまとめ役リサ(シャロン・ホーガン)も、かつて慣れ親しんだキーボード・ピアノをガレージから引っ張り出し、積極的に関わり始める。

しかし、ケイトとリサは方針の違いで衝突を繰り返し、集ったメンバーたちも、美しい声を持っているのに人前で歌えなかったり、合唱を楽しむあまり音程を無視して歌ったりと、心も歌声もてんでバラバラ。担当将校も耳を覆う有り様だったが、心情を吐露するように共に歌い続けるうちに、同じ気持ちを持つ仲間として互いを認めていく。心が一つになっていくにつれ、次第に美しい歌声を響かせるようになった合唱団のもとに、ある日、毎年大規模に行われる戦没者追悼イベントのステージへの招待状が届く。思いがけない大舞台に浮足立つ妻たちだったが、そんな彼女たちの元に舞い込んだのは、恐れていた最悪の知らせだった——
PROFILE
映画・演劇ライター
八巻綾
Aya Yamaki
映画・演劇ライター。テレビ局にてミュージカル『フル・モンティ』や展覧会『ティム・バートン展』など、舞台・展覧会を中心としたイベントプロデューサーとして勤務した後、退職して関西に移住。八巻綾またはumisodachiの名前で映画・演劇レビューを中心にライター活動を開始。WEBサイト『めがね新聞』にてコラム【めがねと映画と舞台と】を連載中。
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