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映画の言葉『まともじゃないのは君も一緒』大野康臣のセリフより

「普通も大変そうだね」

「まともじゃないのは君も一緒」
©2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

普通も大変そうだね

By 予備校教師・大野康臣

『まともじゃないのは君も一緒』より

普通はこうだから。普通はそうじゃないから。
「普通」。それはつい使ってしまう、驚くほど便利な言葉です。でも、「普通」って、何と比べての「普通」なのでしょうか?

前田弘二監督の『まともじゃないのは君も一緒』は、普通の恋愛に憧れるけれどコミュニケーションが苦手な予備校教師・大野(成田凌)と自分は恋愛上級者と思い込んでいるけれど実は恋愛未経験の香住(清原果耶)の、どこか“普通じゃない”二人が繰り広げるラブストーリー。全く噛み合わない二人ですが、ひょんなことから関係が動き始めます。

「やっぱり普通も大変そうだね」

これは、普通を夢見るけれど普通がわからない大野が、「普通の人たち」との関係の築き方に悩む香住にかけた言葉です。学校で陰口ばかり言う友達を、香住は「普通の人たち」と呼んでいました。その態度に疑問を持ちながらも、一緒にいることをやめられない香住は、ふと大野に「先生と一緒にいるほうが全然楽しい」とつぶやきます。

「普通」という言葉はとても便利ですが、その「普通」に共感できないとき、途端に自分がひとりぼっちになってしまったような気持ちになる時があります。普通のコミュニケーション、普通の恋愛、普通の人生…そんな「普通」に共感できない私はまともじゃないのだろうか…。そんな不安にさいなまれることもあるでしょう。でも、そのまともを測るものさしは一体何なのでしょうか? それは自分のものさしで他人を測るという行為なのではないでしょうか。

「普通」に違和感をおぼえたら、一度そのものさしを見つめてみてください。そうすると、自ずと「普通」という言葉から解放され、仲間はすぐそばに見つかるかもしれませんよ。「普通まともって何?」の答えを探し出した大野と香住のように。

BACK NUMBER
FEATURED FILM
出演:成田凌 清原果耶 山谷花純 倉悠貴 大谷麻衣 泉里香 小泉孝太郎
監督:前田弘二
脚本:高田亮
音楽:関口シンゴ
主題歌:「君と僕のうた」THE CHARM PARK
配給:エイベックス・ピクチャーズ
2021年3月19日(金)公開
©2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会
予備校講師・大野は、独身・彼女なし。ずっと1 人で大好きな数学の世界で生きてきた。今の生活に不満はないが、このままずっと1 人なのかと不安になることもある。自分だって普通に結婚したい。ただ、普通が何かわからない。女の子とデートをしてもなんだかピントがずれているような空気は感じているが、どうしていいのかはわからない大野。教え子の香住はそんな大野を”普通じゃない”と指摘してくれる唯一の相手。大野は香住に「どうしたら普通になれる?普通を教えてほしい。」と頼み込むのだが・・・。
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