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映画の言葉『雨とあなたの物語』スジンのセリフより

「“運命”の偶然を信じれば 人生は変わるのに」

『雨とあなたの物語』
©2021 KIDARI ENT, INC., SONY PICTURES ENTERTAINMENT KOREA INC. (BRANCH), AZIT FILM CORP., AZIT PICTURES CORP. ALL RIGHTS RESERVED
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

“運命”の偶然を信じれば
人生は変わるのに

By スジン

『雨とあなたの物語』より

運命と偶然の違いは何でしょうか? 地球上には78憶人以上の人がいます。一生のうち何千人、何万人と遭遇するとして、1人だけを“運命の人”だと決定づけるものはあるのでしょうか? もしかしたら、その違いは「信じること」かもしれません。

2003年韓国。人生の目的を見出せず無為な日々を送る2浪中のヨンホ(カン・ハヌル)は、ふと小学校時代の記憶を思い出し、かつての同級生ソヨン(イ・ソル)に手紙を出します。手紙を受け取ったのはソヨンの妹ソヒ(チョン・ウヒ)。母と共に古書店を営むソヒは、病気の姉に変わって手紙の返事を書きます。こうして始まった手紙のやりとりはヨンホとソヒの生活に変化をもたらし、ついにヨンホは「もし12月31日に雨が降ったら会おう」と提案をするのでした。

まだスマホが普及していない時代に、ヨンホとソヒは手紙だけで交流します。心を躍らせながら相手からの手紙を待ち、少しずつお互いを知りながら自分自身と向き合っていくふたり。しかし、ソヒが姉の名を騙っているという大きな秘密は、ふたりの未来の前に絶望的に立ちはだかっていました。

「“運命”の偶然を信じれば 人生は変わるのに」

これは、ヨンホに思いを寄せる女友達スジン(カン・ソラ)の言葉です。やる気も目的もなくつまらなそうに生きていたヨンホは、手紙のやりとりを重ねるうちに偶然を“運命”だと信じ、限りなく低い可能性に賭けて待ち続ける道を選びます。

DREAMS COME TRUEの名曲「何度でも」に、「10000回だめで ヘトヘトになっても 10001回目は 何か 変わるかもしれない」という歌詞があります。どんなに奇跡的な偶然も、単なる偶然だと思ったままでは“運命”になる可能性はゼロです。偶然を“運命”に変えるのは、偶然を偶然で終わらせず“運命”にするために、諦めずに信じて待ち続ける強い気持ちなのかもしれません。

映画をもっと深めたいあなたに
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INFORMATION
『雨とあなたの物語』
出演:カン・ハヌル チョン・ウヒ カン・ソラ
監督:チョン・ジンモ
配給:シンカ
シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
©2021 KIDARI ENT, INC., SONY PICTURES ENTERTAINMENT KOREA INC. (BRANCH), AZIT FILM CORP., AZIT PICTURES CORP. ALL RIGHTS RESERVED
12月31日。降るはずのない雨を僕は、待ち続けた――
まだスマートフォンもSNSもなかった2003年韓国。夢も目標もなく、ソウルの予備校に通う浪人生ヨンホ(カン・ハヌル)は、長い間大切にしてきた記憶の中の友人を思い出し、あてもなく手紙を出す。一方、釜山では、自分の夢を見つけられないまま母親と一緒に古書店を営むソヒ(チョン・ウヒ)が、ヨンホから姉のソヨンに届いた手紙を受け取る。ソヒは病気の姉に代わってある“約束”を条件に、手紙を交わしていく。
「いくつかルールを守ってほしい。“質問しない”、“会いたいと言わない”、そして“会いに来ない”。」
偶然始まった手紙のやり取りが、モノクロだった2人の日常を鮮やかに彩り始め、やがてヨンホは「もしも12月31日に雨が降ったら会おう」と提案をするが…。
PROFILE
映画・演劇ライター
八巻綾
Aya Yamaki
映画・演劇ライター。テレビ局にてミュージカル『フル・モンティ』や展覧会『ティム・バートン展』など、舞台・展覧会を中心としたイベントプロデューサーとして勤務した後、退職して関西に移住。八巻綾またはumisodachiの名前で映画・演劇レビューを中心にライター活動を開始。WEBサイト『めがね新聞』にてコラム【めがねと映画と舞台と】を連載中。
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