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映画の言葉『居眠り磐音』坂崎磐音のセリフより

「それがしは選んだのだ 生きることを」

居眠り磐音
©2019映画「居眠り磐音」製作委員会
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

それがしは選んだのだ
生きることを

By 坂崎磐音

『居眠り磐音』より

過去の出来事を思い出し、後悔から抜け出せない。どうしても後ろばかりを振り返り、前を向いて進めず苦しんでしまう…。そんな時に、背中を押してくれる言葉とは、どんな言葉でしょう。

ベストセラー作家・佐伯泰英の大人気シリーズを映画化した『居眠り磐音』は、松坂桃李が主演をつとめる時代劇エンターテインメント作品です。主人公・坂崎磐音は、ある悲しい事件のために3人の友を失い、そのうち1人は上意討ち(主君の命を受けて、罪人を討つこと)として自ら手に掛け、祝言を間近に控えた許嫁の奈緒(芳根京子)を残して脱藩。すべてを失い、江戸に出てきた浪人です。収入のない彼を見かねた大家(中村梅雀)の紹介もあり、昼間はうなぎ屋、夜は両替屋の用心棒として働き始めます。そんな折、ある陰謀に巻き込まれ、江戸で出会った大切な人を守るため、悪に立ち向かうことになります。

「それがしは選んだのだ 生きることを」

これは、磐音の過去を知る悪党・阿波屋の有楽斎(柄本明)が、江戸でも剣を握り戦う磐音へ「逃げられへんで。あんたこの先も人を斬る」「そのたびに思いだすんや。竹馬の友を斬った手触りを。地獄やで」と投げかけた後に、磐音が返した言葉です。

磐音は江戸の狭い長屋の一角で、失った3人の位牌に手を合わせ、3人を想います。磐音が想い続けるのは3人だけではありません。どこかで生きているであろう許嫁の奈緒のことも。磐音と奈緒は、「夢であったらいいのに」と思うほどの辛い過去を抱えながら、それでも生きることを選びました。

原作者の佐伯泰英は『陽炎ノ辻 居眠り磐音(一)決定版』 のあとがきにおいて、51巻も続く長編シリーズとなった理由のひとつに、「磐音と奈緒との別離」を挙げています。磐音の奈緒を深く想う気持ちが、次作に繋がったのではないかと。

過去の自分や出来事は変えられません。でも、その過去が自分を決めるのではなく、これから先に続く未来が自身を決め、過去も決めていくのです。大切な人を想い、今周りにいる人も大切にして生きる磐音の姿が、そのことに気づかせてくれたように思います。

↓『居眠り磐音』の原作本を読む

陽炎ノ辻 居眠り磐音(一)決定版 (文春文庫)

BACK NUMBER
FEATURED FILM
居眠り磐音(DVD)
原作:佐伯泰英「居眠り磐音 決定版」(文春文庫刊)
監督:本木克英 脚本:藤本有紀 音楽:髙見優 企画・プロデュース:藤村直人
主題歌:「LOVED」MISIA(アリオラジャパン)

松坂桃李 木村文乃 芳根京子/柄本佑 杉野遥亮 佐々木蔵之介 奥田瑛二/
陣内孝則 石丸謙二郎 財前直見 西村まさ彦/谷原章介 中村梅雀 柄本明

2019年11月6日リリース
発売元:松竹 販売元:松竹
©2019映画「居眠り磐音」製作委員会
坂崎磐音(松坂桃李)は、故郷・豊後関前藩で起きた、ある哀しい事件により、2人の幼馴染を失い、祝言を間近に控えた許嫁の奈緒(芳根京子)を残して脱藩。すべてを失い、浪人の身となった―。
江戸で長屋暮らしを始めた磐音は、長屋の大家・金兵衛(中村梅雀)の紹介もあり、昼間はうなぎ屋、夜は両替屋・今津屋の用心棒として働き始める。春風のように穏やかで、誰に対しても礼節を重んじる優しい人柄に加え、剣も立つ磐音は次第に周囲から信頼され、金兵衛の娘・おこん(木村文乃)からも好意を持たれるように。そんな折、幕府が流通させた新貨幣をめぐる陰謀に巻き込まれ、磐音は江戸で出会った大切な人たちを守るため、哀しみを胸に悪に立ち向かう―。
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