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映画の言葉『ちひろさん』ちひろのセリフより

「みんなで食べても美味しくないものもあるし 一人で食べても美味しいもんは美味しいよ」

『ちひろさん』
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

みんなで食べても
美味しくないものもあるし
一人で食べても
美味しいもんは美味しいよ

By ちひろ

『ちひろさん』より

海辺の小さな町のお弁当屋さんで働くちひろさん(有村架純)は元風俗嬢。その経歴を隠すでもなく、飄々と生きている彼女は町でも目を引く存在です。自由で、どこか寂し気で。白いパンツを履いているのに地面にひざまずいて猫と戯れたり、子どもたちに虐められていたホームレスのおじさん(鈴木慶―)を家に連れて行ってお風呂に入れてあげたり、ちひろさんの行動は予測不能で変わっていますが、常に変わらぬ彼女のリズムは安らぎを与えてくれます。

「みんなで食べたほうが美味しいってよく言うけどさ みんなで食べても美味しくないものもあるし 一人で食べても美味しいもんは美味しいよ」

これは、料理上手の母が用意する家庭での食事が苦手だと打ち明けた女子高生オカジ(豊嶋花)にかけた、ちひろの言葉です。ちひろの言動の軸は常に自分自身。彼女は度々世間の常識や通説に反論し、ときには法的な基準まで飛び越えて行動します。

周囲がどう考え、何を求めているのかではなく、自分がどう考え、何を求めているのかを直視しろ。私はちひろさんにそう言われているような気がしました。

皆と遊んだほうがたのしいよ。
なんで恋人つくらないの?
どんな親だとしても、生んでくれたんだから感謝しないとダメだよ。

こんな風に、世の中にはたくさんの常識や普通が溢れています。そういった言葉に馴染めず、罪悪感を抱えて萎縮しながら生きている人々の心を、きっと誰よりも理解しているちひろさん。そんなちひろさんの笑顔は、きっとあなたの心も溶かしてくれるにちがいありません。

↓『ちひろさん』原作漫画を読む!

ちひろさん 1 (A.L.C. DX) Kindle版

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BACK NUMBER
INFORMATION
『ちひろさん』
出演:有村架純
豊嶋花 嶋田鉄太 van
若葉⻯也 佐久間由衣 ⻑澤樹 市川実和子
鈴木慶一 根岸季衣 平田満
リリー・フランキー 風吹ジュン
原作:安田弘之『ちひろさん』(秋田書店「秋田レディース・コミックス・デラックス」刊)
監督:今泉力哉
脚本:澤井香織 今泉力哉
音楽:岸田繁
主題歌:くるり「愛の太陽」(VICTOR ENTERTAINMENT / SPEEDSTAR RECORDS)
製作:Netflix、アスミック・エース
制作プロダクション:アスミック・エース、デジタル・フロンティア
配給:アスミック・エース

Netflix 世界配信&全国劇場にて公開中
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014
きっと彼女に、会いたくなるー。
ちひろは、海辺の小さな街にあるお弁当屋さんで働く元・風俗嬢。
ちょっと口が悪くて、マイペース。そして自由。そんな彼女は街では浮いている。へんな“おとな”だ。
でもなんでだろう、彼女に会いたい。
ひとり母の帰りを待つ小学生、本音が言えない女子高生、そして無口なホームレスのおじさん・・・・ちひろの優しくない言葉と素っ気ない態度が、さびしくて不思議とあったかい。
この不思議を体験しに、さあ、ちひろさんに会いに行こう。
PROFILE
映画・演劇ライター
八巻綾
Aya Yamaki
映画・演劇ライター。テレビ局にてミュージカル『フル・モンティ』や展覧会『ティム・バートン展』など、舞台・展覧会を中心としたイベントプロデューサーとして勤務した後、退職して関西に移住。八巻綾またはumisodachiの名前で映画・演劇レビューを中心にライター活動を開始。WEBサイト『めがね新聞』にてコラム【めがねと映画と舞台と】を連載中。
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