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映画を観た日のアレコレ No.8

俳優
西田尚美の映画日記
2020年5月30日

映画を観た日のアレコレ
なかなか思うように外に出かけられない今、どんな風に1日を過ごしていますか? 映画を観ていますか?
何を食べ、何を思い、どんな映画を観たのか。
誰かの“映画を観た一日”を覗いてみたら、どんな風景が見えるでしょう? 
日常の中に溶け込む、映画のある風景を映し出す連載「映画を観た日のアレコレ」。
8回目は、俳優 西田尚美さんの映画日記です。
日記の持ち主
俳優
西田尚美
Naomi Nishida
広島県出身。モデルを経て女優へ。映画『ひみつの花園』で映画デビュー。主な出演作に、映画『ナビィの恋』『南極料理人』『綱引いちゃった!』『図書館戦争』『追憶』『ポンチョに夜明けの風はらませて』『友罪』『生きてるだけで、愛。』『ラ』『初恋~お父さん、チビがいなくなりました』『WE ARE LITTLE ZOMBIES』『新聞記者』『凪待ち』『五億円のじんせい』など。

2020年5月30日

ここ最近、韓流ドラマにはまっている。
それもこれも自粛期間中、仕事もほぼ延期だったり見合わせになってしまったので、台本を覚えることもなく暇なのだ。最初のうちは、子どもも学校がお休みになったので、子どもと過ごすことが多かった。お友達と会えなくて寂しいかなぁと、側にいるよアピールをしてみたり。朝昼晩とご飯を作り、洗濯、掃除などの家事、時々買い物。あっという間に時間が過ぎて夕方は犬のお散歩。

本当に一日があっという間に過ぎていく。だんだん子どもが私といることに飽きてきたのか、自立したのか。まぁ、オンライン授業も始まってきたりもして、お互いに一人の時間が出来たのだ。
そこで何をする? 何をしよう? と思った時に勧められた『愛の不時着』。

ここから、私の韓流ドラマを見る習慣が出来てしまった。『梨泰院(イテウォン)クラス』も見て、最近は『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』を見ている。今まで自分が見てこなかったから知らなかったけど、結構皆見てるみたいだ。
次は『トッケビ』で主演のコン・ユ氏が出ている映画『トガニ 幼き瞳の告発』を勧められた。なかなか重いテーマみたいなので、観るタイミングが難しかったのだけど、昨日青空の下、ブルーインパルスを見てちょっとばかり気持ちが上向きになったので、今日観ることにした。

いつもの様に、朝ごはんを作り、家族で食べた。洗濯している間にシンクに溜まった洗い物などをし、最近ずっと気になっていた換気扇の掃除を始めた。子どもはオンライン授業の後、お友達とテレビ電話していた。その間、私は換気扇と格闘していた。自粛期間に入って一度も洗ってなかったそれは、油でベタベタだった。換気扇の蓋からしてベタベタなもんだから激落ちシートなるもので何回も拭いた。蓋を外してその奥にある換気扇の回る部分を外してつけ置き。その間、それを外した周りの部分のベタベタ部分を何度も何度も拭き取った。

すっかり綺麗になった換気扇よ、気持ち良い…と思って換気扇の上の屋根を見てみると、ぎゃー! ここまで油汚れ…その上に埃も溜まっている始末。なんで、今大掃除しなきゃいけないんだ。でも、これを見逃すわけにはいかん。しかし私には『トガニ』が…今日観る予定なのに。
まぁ、拭けば良いんだ、拭けば。シュッシュッとスプレーしながら油汚れを落としちゃ拭いて落としちゃ拭く。あぁ、綺麗になった。と椅子の上に立ち、体勢を変えたら電気の傘に頭をぶつけた。痛っ! と傘に触ったら、まさかの。おいおい、ここもか! よし、拭こう。拭きますとも。

今日は普段気づかないことに、たくさん気づかされる日なのだ。その後私は、換気扇の下のタイルやら、換気扇の横にある棚板やら、換気扇の近くにある色んなことに気づいて、拭いた。

疲れてぼーっと下を見ていたら、IHクッキングヒーターのひとつがくすんでいることに気づいてしまった。やらねば…。重曹を使ってピカピカになるまで拭いた。拭きすぎて右手が痛い。あーぁ、明日筋肉痛になりそう…とダイニングテーブルの方を振り向くと、いつの間にか電話を終えた子どもが宿題をしていて、時計を見ると、13時になっていた。
子どもにお昼を作らねば。綺麗になったキッチンで作って食べて、
よし! 遂に。
『トガニ 幼き瞳の告発』

なんてこった、なんて汚い大人たち。あんな事が許されてたまるものか。子どもの未来はキラキラしていて、ピカピカで光輝いていなきゃいけないんだ。

今日私が磨きあげたキッチンのように。

それにしても重かった…余韻がすごい。引きずって眠れなくなりそうだったから、夜おもむろに中原俊監督の『櫻の園』を観た。1990年版の方。どこまでもまっすぐで瑞々しい。
観たら心が洗われた。
とても綺麗な気持ちになった。
この気持ちがこのまま続けば、
汚い大人にはならなくて済むんじゃないかって、そんなことを思った。

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PROFILE
俳優
西田尚美
Naomi Nishida
広島県出身。モデルを経て女優へ。映画『ひみつの花園』で映画デビュー。主な出演作に、映画『ナビィの恋』『南極料理人』『綱引いちゃった!』『図書館戦争』『追憶』『ポンチョに夜明けの風はらませて』『友罪』『生きてるだけで、愛。』『ラ』『初恋~お父さん、チビがいなくなりました』『WE ARE LITTLE ZOMBIES』『新聞記者』『凪待ち』『五億円のじんせい』など。
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