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映画を観た日のアレコレ No.43

タレント・映画コメンテーター
加藤るみの映画日記
2021年5月21日

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なかなか思うように外に出かけられない今、どんな風に1日を過ごしていますか? 映画を観ていますか?
何を食べ、何を思い、どんな映画を観たのか。 誰かの“映画を観た一日”を覗いてみたら、どんな風景が見えるでしょう? 日常の中に溶け込む、映画のある風景を映し出す連載「映画を観た日のアレコレ」。
43回目は、タレント・映画コメンテーター 加藤るみさんの映画日記です。
日記の持ち主
元SKE48 タレント・映画コメンテーター
加藤るみ
Rumi Kato
SKE48を卒業後、映画・釣り・世界遺産など多趣味を生かしマルチに活躍中。TBSラジオ『アフター6ジャンクション』で東南アジア映画を紹介し、注目を集めた。『BRUTUS』シネマコンシュルジュやPLANETS『加藤るみの映画館の女神』、各映画公式サイト・SNSへのコメント寄稿など、映画コメンテーターとして活躍の場を広げている。

2021年5月21日

今日は、バタバタと窓が暴れるほど大雨だ。
特に何にも予定がない一日。
屋根の上からぽたぽたしずくが落ちてくるのをボーっと見つめている。
幼い頃は雨が大嫌いだった。
1時間かかる学校までの道のりで、ジワジワと靴下に侵入してくる水の感覚。
モワッとした湿っぽさが立ち込める教室のなんとも言えない匂い。
友達と別れた瞬間から家に着くまで、傘を地面にコンコンついて一人遊びした退屈な時間。
雨の日はいつも憂鬱だった。
しかし、大人になるにつれて雨の日も悪くないかも、と思えるようになった。
それは多分、ウディ・アレン作品への憧れが影響しているんだと思う。

ウディ・アレンの映画に出会ったのは15歳の時だった。
映画好きの母から勧められて観た『アニー・ホール』が、私にとって “初めてのウディ・アレン”だった。
今思うと、誰も言わないから自分で言うが、無垢で可愛くて、まだ恋も何にも知らない15歳の少女によくあれを勧めたなと。
「アンタ、これだけは観ときな」って。
さすが私の母だなと笑えてくる。
あの頃、まだ10代だった私には内容の複雑さや物語を理解できていなかったと思う。
けれど、あの映画が醸し出す雰囲気に秒速で惹かれていったことは覚えている。
これまでもこれからも、私にとって『アニー・ホール』は特別な一本であることには間違いない。
それから、レンタルビデオ屋に行って片っ端からウディ・アレンの映画を借りた。
何かに取り憑かれたように、四六時中映画を観たあのドキドキは、今はもう感じることができない感情のような気がしてたまに切なくなる。

ここ数年、ウディ・アレンの養女に対する幼児虐待疑惑が炎上し、ハリウッドから追放状態というニュースが浮上した。
映画好きというとよく聞かれる、「好きな監督は?」という質問には、「ウディ・アレン」と常々答えてきた私にとって、物凄くショッキングなニュースだった。
事件の真相はわからないが、私は性的な虐待、暴行、暴力は容認しないということを明記した上で彼の作品について語りたい。

ニューヨークのウディ・アレンより、ヨーロッパのウディ・アレンが好きな私は少数派かもしれない。
それはおそらく私が、ヨーロッパを拠点にした00年代後半の作品をリアルタイムで目撃し始めた年代だから、DVDで観るんじゃなく劇場で観た思い出補正を含めて、ヨーロッパ編が好きなんだと思う。
やっぱり、映画館での思い出は特別だ。
特に、ウディ・アレン作品のなかでも一番好きなのは『ローマでアモーレ』である。
シャワーオペラのシーンはいつ観ても笑いが止まらない。それに、ジェシー・アイゼンバーグの情けなさも最高だ。
人間を人間らしく描き、綺麗事を言わず汚さまでもユーモアたっぷりに魅せてくれるところが、彼の映画が好きな理由のひとつである。

前置きが長くなったが、雨降る今日に観たくなったのは、『ミッドナイト・イン・パリ』だ。
はじまりは心地良いジャズからはじまり、美しいパリの風景が切り取られていく、ウディ・アレンあるある。
なんかもう、この冒頭だけでなんとも言えない満たされた気持ちになった。
あの頃はなんとなく観ていた冒頭のシーンだけで、こんなにも心がウルウルするなんて。
マスクもせずに、この場所へ行けたら、と思った。
コロナ禍になって気軽に海外へ行けない今、私はどれだけ映画で旅をしたんだろうか…。

ミッパリ(かなりダサめだが、私はいつからかこう略している。)の一番好きなシーンは、やはりラストシーンである。
真夜中のパリ。
色々あった(笑)ギル(オーウェン・ウィルソン)がガブリエル(レア・セドゥ)と再会し、「構わないわ。濡れても平気よ」と余裕の笑顔を見せるガブリエルと、雨にうたれながら一緒に橋の上を歩くシーン。
あのレア・セドゥはどう考えても無敵だろう。
ウディ・アレンは魔法をかけるかのように、一番良いシーンで雨を降らせる。
いや、雨が降るから一番良いシーンになるのかもしれない。
少し意地を張り気味ではあるが、雨が心地良く思えるようになったのは、この映画のおかげだと改めて思った。
傘をささずに、雨のパリを歩くロマンチックな日がいつか訪れると夢見て。
大阪の片隅で、雨に想いを馳せる私であった。

加藤るみの映画日記
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PROFILE
元SKE48 タレント・映画コメンテーター
加藤るみ
Rumi Kato
SKE48を卒業後、映画・釣り・世界遺産など多趣味を生かしマルチに活躍中。TBSラジオ『アフター6ジャンクション』で東南アジア映画を紹介し、注目を集めた。『BRUTUS』シネマコンシュルジュやPLANETS『加藤るみの映画館の女神』、各映画公式サイト・SNSへのコメント寄稿など、映画コメンテーターとして活躍の場を広げている。
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