PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば

映画を観た日のアレコレ No.69

漫画家
藤岡拓太郎の映画日記
2022年7月5日

映画を観た日のアレコレ
なかなか思うように外に出かけられなかった時を経て、今どんな風に1日を過ごしていますか? 映画を観ていますか?
何を食べ、何を思い、どんな映画を観たのか。 誰かの“映画を観た一日”を覗いてみたら、どんな風景が見えるでしょう? 日常の中に溶け込む、映画のある風景を映し出す連載「映画を観た日のアレコレ」。
69回目は、漫画家 藤岡拓太郎さんの映画日記です。
日記の持ち主
漫画家
藤岡拓太郎
Takutaro Fujioka
1989年5月31日、大阪生まれ。2014年からTwitterとInstagramでギャグ漫画の発表を始める。著書に、『藤岡拓太郎作品集 夏がとまらない』、『大丈夫マン 藤岡拓太郎作品集』、絵本『たぷの里』、絵本『ぞうのマメパオ』(いずれもナナロク社刊)がある。

2022年7月5日 火曜日

8時ごろ起きる。先日知り合いにもらった紅茶鶏と、トマトとレタスを、Pascoの超熟イングリッシュマフィンで挟んで食べる。このマフィンの表面にまぶしてあるとうもろこしの粉がやたら手についたり散らばったりするのが嫌で、以前は流し台の上ではたいてから食べていたが、最近は気にならなくなりそのまま食べている。

1年ぐらい前から食事中によく観ている『迷宮グルメ 異郷の駅前食堂』(BS朝日)。芸人のヒロシさんが毎週色んな国の街を歩く。通訳者を付けないヒロシさんと現地の人々との、成立したりしなかったりするコミュニケーションが楽しい。今朝も録画していた1回分を観終え、洗濯、掃除。

今レンタルしている映画は『ドライブ・マイ・カー』と『子供はわかってあげない』。今日は夕飯のあとに『子供はわかってあげない』を観よう。

『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)のポッドキャストを聴きながら、絵本『たぷの里』のサイン本づくり。午後は参院選の期日前投票に行くので、改めてWEBで情報収集。YouTubeで街頭演説などを観る。

昼ご飯は、明星 チャルメラの「宮崎辛麺」(卵入り)と、きゅうり。

外は雨。バスに乗って区役所へ。よく言われていることだが、期日前投票も含めて、選挙期間中は投票所の周りに屋台を出してお祭りみたいにするとか、投票のついでに楽しめる何かを作ってほしい。もっと投票率が上がると思う。それはともかく、あらゆる人間の個性を尊重してくれそうな人たちに投票をした。イングリッシュマフィンの個性をはたき落としていた自分が言うのもなんだが・・・。あれ海帰りのサンダルのはたき方だったな。

帰りのバスまでしばらく時間があったので、区役所のそばのスーパーマーケットに入ってみる。自分の生活圏内でないスーパーマーケットに入るのは少し興奮する。アボカドが98円であることに興奮きわまり、3つばかりカゴに叩き込む。数か月ぶりに150円を下回るアボカドに出会った。あとはネギとアイスと豆大福などを購入。

帰宅してダラダラする。

夕飯はアボカドチーズハンバーグと、人参と玉ねぎのスープ、レタスとトマト。

風呂に入ってから、映画『子供はわかってあげない』を再生。開始10分足らずで、この映画大好きだなと思う。台詞回しや人物の感情の動きに無理がない。絶妙な間合い。久しぶりに素晴らしいコメディ映画を観た。日本映画でこんなに笑ったのは『リアリズムの宿』ぐらい・・・? ラスト近く、子供に絵をもらった時の主人公の一言もよかった。「ありがたき幸せ」ぐらいなら自分でも思いつきそうだが、それよりももう少しだけひねった台詞。シチュエーション自体は特に目新しいわけではないけど、一風変わった台詞や振る舞いに、思わず感動してしまう。そんな場面がたくさんあった。

昨年夏に公開された本作は、当時、日本語字幕付き上映がなく、聴覚障害を持つ自分は劇場で観ることができなかった。これは大勢の観客と一緒に笑いながら観たかったなあ・・・。それにしても、とにかく気持ちのいい笑いにあふれた映画だった。今夜はその喜びだけを抱えて寝るとする。

※筆者補足1:『ドライブ・マイ・カー』DVD→日本語字幕あり。『子供はわかってあげない』DVD→日本語字幕あり。『リアリズムの宿』DVD→日本語字幕なし。以前Netflixで日本語字幕付き配信がされていたが、2022年7月15日現在は配信なし。)

※筆者補足2:映画『子供はわかってあげない』は公開当時、「字幕メガネ」に対応した字幕上映は実施されていましたが、スクリーンに字幕を映す通常の字幕上映は実施されませんでした。字幕メガネはまだまだ体に合わない人も多く、個人的にも映画を集中して観られるようなアイテムではないため、スクリーン字幕上映が減りつつある現状に違和感を覚えています。映画『子供はわかってあげない』に関しては、製作会社へ意見・要望を送ったところ、とても丁寧なお返事を頂きました。様々な人にとって、映画の視聴環境が更に整ってゆくことを願っています。

PINTSCOPEでは「映画を観た日のアレコレ」を連載中!
ぜひ、Twitter公式アカウントをフォローしてあなたの「心の一本」を見つけに来てください。

BACK NUMBER
PROFILE
漫画家
藤岡拓太郎
Takutaro Fujioka
1989年5月31日、大阪生まれ。2014年からTwitterとInstagramでギャグ漫画の発表を始める。著書に、『藤岡拓太郎作品集 夏がとまらない』、『大丈夫マン 藤岡拓太郎作品集』、絵本『たぷの里』、絵本『ぞうのマメパオ』(いずれもナナロク社刊)がある。
シェアする