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映画を観た日のアレコレ No.34

漫画家
大橋裕之の映画日記
2021年1月19日

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なかなか思うように外に出かけられない今、どんな風に1日を過ごしていますか? 映画を観ていますか?
何を食べ、何を思い、どんな映画を観たのか。
誰かの“映画を観た一日”を覗いてみたら、どんな風景が見えるでしょう?
日常の中に溶け込む、映画のある風景を映し出す連載「映画を観た日のアレコレ」。
34回目は、漫画家 大橋裕之さんの映画日記です。
日記の持ち主
漫画家
大橋裕之
Hiroyuki Ohashi
漫画家。1980年生まれ。愛知県蒲郡市出身。代表作に「太郎は水になりたかった」「シティライツ」「音楽」「ゾッキA,B」などがある。
現在、『トーチweb』、『TV Bros.』、『EYESCREAM』などで連載中。アニメーション映画「音楽」Blu-ray&DVD発売中。2021年春 映画「ゾッキ」全国公開予定。

2021年1月19日

昼前に起きて、満腹で眠くならない程度に腹を満たした。ありがたいことに最近は仕事が詰まっているので、なるべく集中力を保たねばならない。気を抜くとYouTubeで格闘技を観たり、Googleマップのストリートビュー徘徊をしたりしてしまう。

とにかく今日は、この日記のために映画を観ようと決めている。正直、自分にとって映画を観るということは日々の生活において自然なことではない。観たい作品は沢山あるのだが、どうにも気張りすぎて腰が重くなって、結局後回しにしてしまう。そんな調子なので、観たい観たいと思いながら未だに『ゴッドファーザー』すら観たことがない。この機会に観ようか。それとも敢えて幼い頃から何度も観てきた『スタンド・バイ・ミー』や『グーニーズ』にしようか。迷いながらネットで様々な映画タイトルを眺めていたら『仕立て屋の恋』が目に留まった。二十歳の頃、友人がこの映画のタイトルを口にしていた記憶がかすかに残っていた。内容は全く知らないが、何となくこれにしようと決めた。

妻と一緒になるべく気張らずにぼーっと観ていると、実家で一人暮らししている父からの着信。急用でなければ、LINEのメッセージで済ませる父からの直接の電話にはいつも胸騒ぎがする。結局電話の内容は、「ペットショップにデグー(ネズミのようなやつ)を見にきたら人懐っこく手に乗ってきたから飼おうと思うんだけど、どうだろう?」というものだった。先日、実家で飼っていた犬が急死して父はショックを受け、もう動物は飼わないと言い出していたので、僕はすかさず賛同して、ネットで飼育セットを調べて注文した。

ところで『仕立て屋の恋』は、80分ぐらいの作品なので気兼ねなく最後まで観れた。スケート場のシーンが良かったのでネタ帳(スマホ)にメモった。理由は、今後そのシーンを原型が分からなくなるぐらいまで変えてパクリたいと思ったからだ。実際使うかどうかは分からないが。

それにしても、何故いつも映画を観ることに気張って腰が重くなってしまうのか。この日記を書いていて改めて気付かされたのだが、他人に映画の感想を求められた時の自分の意見に全く自信が持てないことが一つの大きな理由だ。根本的に理解力が乏しいのもあるが、集中力がなく鑑賞中に余計なことを考えてしまうので、見過ごしてしまうセリフやシーンも多い。本来映画を楽しむことにおいて、別に他人からどう思われようが関係のないことなのだが、気になってしまうものは仕方がない。あと、新作映画に関しては、前評判が良くて期待値が高まりすぎた状態で、やっと重い腰を上げて映画館に行くので、期待外れになる確率が高い。それで益々足が遠のいてしまう。これは本当に良くない。もっと軽やかに映画を観たい。

とにかく何を言いたいかと言うと、『仕立て屋の恋』は期待せずに何も知らない状態で観ることができたのでとても楽しめた。友人に久しぶりに「観たよ」と連絡しようと思ったが、本当にその友人だったのか自信がなくなってきたのでやめた。買い物に行こうとアパートの外に出たら、隣のおばあさんが飼ってる猫がいたので写真を撮った。この猫とは顔見知りだが、嫌われたくないのでなるべく良い距離を保って接している。いつか仲良くなって撫で回したい。早くデグーも撫で回したい。

大橋裕之の映画日記
BACK NUMBER
FEATURED FILM
監督 : パトリス・ルコント
出演 : ミシェル・ブラン、サンドリーヌ・ボネール、リュック・テュイリエ
仕立て屋のイール氏は、人との接触を避け、周囲のアパートの住人達から嫌われている変人だった。
彼の唯一の楽しみは向かい側の建物の部屋に引っ越してきた美しい女アリスの私生活を窓を通して覗き見ることだけだった。
ある日、アパート近くで少女ピエレットが殺害され、刑事は嫌われ者のイール氏を容疑者として嗅ぎまわる。
しかし、イール氏は本当の犯人がアリスの婚約者エミールであることを知っていた。
イール氏が窓から自分を観察していたことを知ったアリスは、彼が殺人の真相をどこまで知っているのかを調べようと、自ら接触してくる。
それは、イール氏に取って甘く危険な誘惑の始まりだった。
PROFILE
漫画家
大橋裕之
Hiroyuki Ohashi
漫画家。1980年生まれ。愛知県蒲郡市出身。代表作に「太郎は水になりたかった」「シティライツ」「音楽」「ゾッキA,B」などがある。
現在、『トーチweb』、『TV Bros.』、『EYESCREAM』などで連載中。アニメーション映画「音楽」Blu-ray&DVD発売中。2021年春 映画「ゾッキ」全国公開予定。
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