PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば

映画を観た日のアレコレ No.14

お笑い芸人
いとうあさこの映画日記
2020年6月30日

SNSで最新情報をチェック!
なかなか思うように外に出かけられない今、どんな風に1日を過ごしていますか? 映画を観ていますか?
何を食べ、何を思い、どんな映画を観たのか。
誰かの“映画を観た一日”を覗いてみたら、どんな風景が見えるでしょう?
日常の中に溶け込む、映画のある風景を映し出す連載「映画を観た日のアレコレ」。
14回目は、お笑い芸人 いとうあさこさんの映画日記です。
日記の持ち主
お笑い芸人
いとうあさこ
Asako Ito
1970年、東京都生まれ。1997年に「ネギねこ調査隊」を結成。2003年にコンビ解散後、ピン芸人として活動を開始。現在、日本テレビ『ヒルナンデス!』『メレンゲの気持ち』『世界の果てまでイッテQ!』、Eテレ『すイエんサー』、文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ!』『ラジオのあさこ』など、バラエティー番組を中心にテレビ、ラジオにて活躍中。
Twitter: @asako1970

2020年6月30日

40歳の頃からお仕事をいろいろいただくようになって10年。その前に13年間下積み時代があったのもあって、がむしゃらに仕事してまいりました。それが3月末から始まった自粛生活。急に立ち止まったせいか、寂しくなったり不安定になったり…なんて言うのも束の間。意外に一人が苦痛じゃない自分に気づく。いや、未来の事を考えると不安ですよ。“超”を何個つけていいかわからないほど不安。それとは別でずっと“雑に”暮らしてきた私にとって朝起きて窓を開け、森三中・村上の勧めで始めたぬか漬けを引っ張り出してきて朝食の準備をする、なんて言う当たり前の事をずいぶんしてこなかったなぁ、と。「ああ、“ちゃんと”生きるってこういう事か」なんて空を見上げて思っちゃったりして。

そんな日々の中、元々いわゆるテレビっ子な私は今まで以上にその時間が長くなる。しかもAmazonプライム・ビデオだのNetflixだの今や観る手段は山ほどありますから。いろいろ観ていくウチにうっかり思っちゃったんですよね。「ああ、やっぱり昔の、面白いなぁ」と。いやね、“昔はよかったおばさん”になるつもりはまったくないのですが、新作がほとんどなかったこの時期に昔の作品に手を出しちゃうのは必然と申しますか。そして時代が変わった今観てもやっぱり面白いと思えてしまう名作の数々。DVDで持っているものも含めドラマ観まくりんぐです。『東京ラブストーリー』『愛していると言ってくれ』『ADブギ』『男女7人夏物語』『北の国から』などなど。

もちろん映画も。実はわたくし、映画も大好きで。昔から本当によく映画館に行って映画を観ております。ただですね、家で映画を観るのはあまり好きではなく。と言うのも大人なのにお恥ずかしいのですが、集中力が続かないんですよね。途中でメールが来れば携帯いじっちゃうし、何か飲み物や食べ物がなくなったら台所に取りに行っちゃうし。しかも家だとやっぱりお酒なんか用意しちゃったりして。これまたくせ者で、“映画観ながらのお酒”には残念な思い出が。あれは当時大ブームだった『タイタニック』を映画館に観に行った時の事。あの頃はよくビールを買って飲みながら観ておりました。『タイタニック』は3時間以上という長時間映画。そんな映画を観ながらビールを飲む。どうなるかわかりますよね? ええ、そうです。トイレに行きたくなるのです。席もパンパンだし、しばらく我慢していたのですが、最後。ジャックとローズが凍えるような冷たい海で板につかまって喋っているシーン。その水感にどんどん高まるトイレ欲。結局「すいません! すいません!」と謝りながら席を立ちトイレに駆け込んだ。まさかのこの名シーンを見逃した大馬鹿野郎なのです。

そんなこんなで自宅で映画を観る事はずいぶんしていなかったのですが、今現在の“映画不足”は否めない。1月末映画館に『男はつらいよ お帰り 寅さん』を観に行ったっきりだもの。家にあるDVDを探る。『フラッシュダンス』もいいし『ブルース・ブラザーズ』もたまらない。『Wの悲劇』も捨てがたいぞ。あ、と手が止まる。大好きなホイチョイ三部作。中から『私をスキーに連れてって』を手に取る。季節外れで逆にいい。途中で席を立たないように、日本酒四合瓶とロックグラス、チーズ&クラッカーを机の上へ。上映スタート。大好きなユーミンさまの名曲に彩られた名作。最近では本当にいろんな事を忘れてしまうのに、この映画の台詞はほとんど覚えている。当時高校2年生だった私はこの映画が好き過ぎて卒業旅行はスキーに行った。ただ映画に出てくる志賀・万座は超人気で宿が取れず斑尾へ。そしてウェアも原田知世ちゃんに憧れて同じ真っ白のものを買いに行ったけど、どこも売り切れで。残っていた変な深緑のウェアを買ったっけ。指の鉄砲でバーンってやったら三上博史と出会えたり、年越しの時「A HAPPY NEW YEAR」をBGMにお互いを思い車で会いに行ったり、吹雪の中自分の事を探しにきてくれたり。そんな夢のような事は現実起こらないけど、だからこそ何度観てもうっとりしてしまう。ああ、知世ちゃん、最高。

影響をすぐ受ける私は観終わって数時間、いつもよりちょっとだけ声が高くなって所作が女の子らしくなる。よし、小指でも立てて日本酒の続き、呑むとしましょか。

BACK NUMBER
PROFILE
お笑い芸人
いとうあさこ
Asako Ito
1970年、東京都生まれ。1997年に「ネギねこ調査隊」を結成。2003年にコンビ解散後、ピン芸人として活動を開始。現在、日本テレビ『ヒルナンデス!』『メレンゲの気持ち』『世界の果てまでイッテQ!』、Eテレ『すイエんサー』、文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ!』『ラジオのあさこ』など、バラエティー番組を中心にテレビ、ラジオにて活躍中。
Twitter: @asako1970
RANKING
  1. 01
    映画を観た日のアレコレ No.64
    フリーアナウンサー
    大橋未歩の映画日記
    2022年4月3日
  2. 02
    映画を観た日のアレコレ No.65
    ダンサー・振付師
    Seishiroの映画日記
    2022年4月26日
  3. 03
    嵐莉菜×奥平大兼×川和田恵真監督 インタビュー
    「目の前にいる人」へ想いを巡らすことは、見知らぬ他人への想像力となる
  4. 映画好きなら誰もが一度は触れている、大島依提亜さんのデザインの秘密にせまる! 宝物のようにとっておきたくなるポスター・パンフレットとは? 04
    グラフィックデザイナー 大島依提亜 インタビュー
    映画好きなら誰もが一度は触れている、大島依提亜さんのデザインの秘密にせまる!
    宝物のようにとっておきたくなるポスター・パンフレットとは?
  5. 「耳」を映画館の環境に! おうち映画をもっと楽しむ、おすすめヘッドホン・イヤホン9選 05
    映画鑑賞におすすめ! おすすめヘッドホン・イヤホン特集
    「耳」を映画館の環境に!
    おうち映画をもっと楽しむ、おすすめヘッドホン・イヤホン9選
  6. 「悪かった」 「僕もごめんね」 06
    映画の言葉『カモン カモン』ジョニーとジェシーの言葉
    「悪かった」
    「僕もごめんね」
  7. 臆病なライダーが、カレーの脇道をひた走る。/『イージー・ライダー』 07
    水野仁輔の旅と映画をめぐる話 vol.17
    臆病なライダーが、カレーの脇道をひた走る。/『イージー・ライダー』
  8. 愛情の残酷さと、バカバカしさと。 08
    瀬戸康史×城定秀夫監督 インタビュー
    愛情の残酷さと、バカバカしさと。
  9. スカーレットはいじわるキャラ?女性が自分で人生を決め、自分の力で生き抜くということ『風と共に去りぬ』 09
    嗚呼、こんなにも魅惑的な登場人物たち! 第16回
    スカーレットはいじわるキャラ?女性が自分で人生を決め、自分の力で生き抜くということ『風と共に去りぬ』
  10. 極上のお酒を求めて街歩き。まだ知らなかった魅惑の世界へ導いてくれた『夜は短し歩けよ乙女』 10
    どうしても語らせてほしい一本 「映画でお出かけ、旅気分!」
    極上のお酒を求めて街歩き。まだ知らなかった魅惑の世界へ導いてくれた『夜は短し歩けよ乙女』
シェアする