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映画を観た日のアレコレ No.32

福田里香の映画日記
2021年1月13日

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なかなか思うように外に出かけられない今、どんな風に1日を過ごしていますか? 映画を観ていますか?
何を食べ、何を思い、どんな映画を観たのか。
誰かの“映画を観た一日”を覗いてみたら、どんな風景が見えるでしょう?
日常の中に溶け込む、映画のある風景を映し出す連載「映画を観た日のアレコレ」。
32回目は、菓子研究家 福田里香さんの映画日記です。
日記の持ち主
菓子研究家
福田里香
Rika Fukuda
福岡生まれ。武蔵野美術大学卒。菓子研究家。
糸島のゲストハウス「bbb haus」のレモンサブレのプロデュースなど食まわりのあれこれを手がける。
著書に『民芸お菓子』『新しいサラダ』『いちじく好きのためのレシピ』、雲田はるこさんとの共著『R先生のおやつ』など。
「装苑」誌のフードコラムは今年で22年目。
「Discover Japan」誌のお菓子コラムは今年で11年目。

2021年1月13日 新月

映画は日常の憂いを忘れさせてくれる一服の清涼剤だ。
さらりと別世界に飛べるってすばらしい。
たとえば、ジャンルがホラーだとしても。

ふと今夜は『ミッドサマー』を観直そうと思った。
そういえばこの映画を前回観たのは、去年の12月21日、冬至の日だ。
この映画は日照時間が一年で一番長い夏至の話だから、その真逆で日照時間が一番短い冬至の日に観てみようと思ったのだった。

何もなかったよね? と、念のため今夜の予定を見ようと手帖を繰った。
予定は入って無かったが、曜日欄の横に印刷された黒丸の記号が眼に入り、そうか、今日は新月なんだと気がついた。

『ミッドサマー』の舞台であるスウェーデンの夏至は、夜でも陽が沈まない。
明るい白夜だから、空に月は浮かばないのだ。
新月は闇夜で月が無い。
こじつければ、白夜の夏至と新月の夜の共通点は月が出無いってとこだな、と意味もなく考える。

『ミッドサマー』のフード描写には、わたしが好きな「不穏系フード」がたくさん登場する。
草花を石のすり鉢でつぶして作る薄黄色のハーブ水が怖い。
極めつけは、あのミートパイ。
世界で一番いやな食べ物だ。
最悪なフード描写の連続に対比して、衣裳とインテリア、それから色とりどりの野の花のなんとかわいらしいことか。
『ミッドサマー』に感じる恐怖の根源は、この絶妙なアンバランス加減にあると思う。
自分の認知が歪む感覚がたまらなくおもしろい。

そういえば、2016年にストックホルムの市場で購入したリンゴンベリージャムがまだ冷蔵庫に眠っているのを思い出した。
これはスウェーデンの自分土産だ。
2パック購入して帰国し、1パックは食べ、もう1パックは冷蔵庫の奥に“飾って”いたのだった。

このリンゴンベリージャムはパックしたプラスチック容器をさらにビニール袋で密封してある。
砂糖は防腐剤の役目をするし、二重に密閉してるからどれくらい持つのだろうか? という興味もあり、白樺細工を買うように、鑑賞する目的でジャムを買ったのだ。

今、久しぶりに冷蔵庫から取り出してみた。
状態は5年前と変わっていない(すごいね)。
リンゴンベリーは、スウェーデンの野原に自生する真っ赤でまん丸な小粒の果実だ。
わたしとしては“北欧かわいいほっこり枠”として取って置いたのだが、『ミッドサマー』を観た後では、なんだか全然違って見えた。

福田里香の映画日記
  1. 映画界・新エースのインスピレーション源は、名作日本映画にあり!?『ミッドサマー』
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    映画『ミッドサマー』の世界をより深めたいあなたに。アリ・アスター監督と、本作の日本版アートポスターを手がけた画家のヒグチユウコさん、デザイナーの大島依提亜さんの鼎談インタビューはこちら!
BACK NUMBER
FEATURED FILM
監督・脚本:アリ・アスター
出演:フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー、ウィル・ポールター、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、ヴィルヘルム・ブロングレン、アーチ・マデクウィ、エローラ・トルキア、ビョルン・アンドレセン
5人の大学生たちが訪れたスウェーデンの奥地で、90年に一度の祝祭が始まる。白夜の太陽の 下、花は咲き乱れ、人々は陽気に歌い踊る…しかし、全ては悪夢の始まりだった。
PROFILE
菓子研究家
福田里香
Rika Fukuda
福岡生まれ。武蔵野美術大学卒。菓子研究家。
糸島のゲストハウス「bbb haus」のレモンサブレのプロデュースなど食まわりのあれこれを手がける。
著書に『民芸お菓子』『新しいサラダ』『いちじく好きのためのレシピ』、雲田はるこさんとの共著『R先生のおやつ』など。
「装苑」誌のフードコラムは今年で22年目。
「Discover Japan」誌のお菓子コラムは今年で11年目。
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