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映画を観た日のアレコレ No.12

玉城ティナの映画日記
2020年7月15日

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なかなか思うように外に出かけられない今、どんな風に1日を過ごしていますか? 映画を観ていますか?
何を食べ、何を思い、どんな映画を観たのか。
誰かの“映画を観た一日”を覗いてみたら、どんな風景が見えるでしょう?
日常の中に溶け込む、映画のある風景を映し出す連載「映画を観た日のアレコレ」。
12回目は、玉城ティナさんの映画日記です。
日記の持ち主
俳優
玉城ティナ
Tina Tamashiro
1997年沖縄県出身。中学生の時スカウトされ、講談社「ViVi」の最年少専属モデルになる。2014年、ドラマのヒロインで女優デビュー。2019年ヒロインを演じた『Diner』(蜷川実花監督)『惡の華』(井口昇監督)の演技が評価され、第44回報知映画賞新人賞受賞。主演ドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」(MBS/TBS)が、9/8深夜からスタート。

2020年7月15日

祈り。この映画の中にはその単語が何十回も出てくる。緊急事態宣言が東京に出されていたある日、いつも通りソファに座りながら、入っている動画配信サービスをいくつかぐるぐると眺めていた。既に五日間くらいは、外に出ていなかったように思う。人との距離が取られ、消毒液とマスクを欠かさず、去年二回訪れたイタリアでは既に何万人以上の感染者数が出ていて、信じられない気持ちだった。なんだか現実のように感じられなかったが、このウィルスの恐ろしさは紛れもない事実なのであった。人は、死んだらどこへ訪れるのだろうか、感覚もなく真っ暗闇に放り出されるのだろうか、などと考えていたらあるひとつの映画が目に留まった。『魂のゆくえ』である。魂の行方…その答えが書いてある訳ではないだろうが、メインビジュアルの黒とイーサン・ホーク演じる牧師の顔にかかる炎のような血のような赤のコントラストに惹かれ、今日はこの映画を観ようと決めた。

そこからは、映画全体に広がる静かな怒り、シンメトリーの中に潜む違和感、台詞の強さ、などに惹かれながら二時間が経った。あらゆる極端な要素の組み合わせを目の前にして、私は無力なひとりの人間であると突きつけられるようだった。
信仰というテーマは私にとって幼少期からの関心事だ。父親にはキリスト教についての話をせがみ、大人になって自分の好きなように(もう過去形ですね…)海外に行けるようになってからは、必ず寺院や教会など「信じられているもの」があるような場所へ訪れた。しかし私はそこに祀られている者に敬意を払いながらも、その場所で会う人達の表情や動作に更に興味があった。できればインタビューしたいくらいなのだが、そんな度胸は無いので他人の顔や指先にこっそりと意識を送っていた。人は何を信じ生きるのか。
この映画の中で最も印象的だったのは、「神はそれを望んでいるのだろうか?」という台詞である。

あらすじをざっくりと引用しながら説明すると、イーサン・ホークが演じているのはニューヨーク州北部の小さな教会「ファースト・リフォームド」の牧師・トラー。ミサにやってきた女性から環境活動家である夫の悩みを聞いてほしいと頼まれ、彼の家を訪れる。そこで夫が地球の末を憂うあまり、彼女のお腹の中にいる子を産むことに反対しているという話を聞かされる。また、トラーは自身が所属するメガチャーチが環境汚染の原因を作っている企業から巨の支援を受けていることを知り…。という映画なのだが、私は評論家ではないので気になった方はとりあえず観てみるのが一番だと思う。

先ほど紹介した台詞は、まるで今現在の私達への問いのようにも聞こえてきてしまう。
一体、誰が望んでこのような事態になってしまったのか。観終わった後、スマホでニュースを読んでいると、この一年で大多数が自粛した結果、7〜8%の二酸化炭素量が削減するんじゃないか、という予想が立てられている、という記事があった。とてつもない皮肉というかなんというか…我々は自分の首を絞めていた事に今まで気付かず、新たな棘によってその事に気付かされたのかもしれない。

ウィルスとの戦いの後、私達はどのような景色を見る事になるのか。その時、神はどんな顔をするのだろう。しかし、神は目の前に現れて指図するのではなく、実際に行動を起こすのはあくまでも人間なのだ。
私たちの周りには常に問題があり、頭を悩ませてしまうが、見ないふりはしないように努めたい。こんな風に自宅で考えを巡らせる時間があった、それだけでもこの期間から得た物がある、とそう信じている。

ラストシーンの牧師の姿は、とてつもなく大きくいうと地球のようにも見え、なんだか言葉にできない感情が生まれたのだった。

玉城ティナ 映画日記
BACK NUMBER
PROFILE
俳優
玉城ティナ
Tina Tamashiro
1997年沖縄県出身。中学生の時スカウトされ、講談社「ViVi」の最年少専属モデルになる。2014年、ドラマのヒロインで女優デビュー。2019年ヒロインを演じた『Diner』(蜷川実花監督)『惡の華』(井口昇監督)の演技が評価され、第44回報知映画賞新人賞受賞。主演ドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」(MBS/TBS)が、9/8深夜からスタート。
FEATURED FILM
ニューヨーク州北部の小さな教会「ファースト・リフォームド」。牧師のトラーは信徒のメアリーから相談を受ける。
彼女の夫が地球の環境問題を思い悩むあまり、出産に反対しているというのだ。
夫の説得を試みるトラーだったが、逆に教会が汚染企業から間接的に献金を受けている事実を知ってしまう。
悩めるトラーは、やがてある決意をする。彼の聖なる願いと魂の行き着く先は…。
監督・脚本:ポール・シュレイダー
撮影:アレクサンダー・ディナン
音楽:ラストモード
出演:イーサン・ホーク、アマンダ・セイフライド、セドリック・カイルズ 、ヴィクトリア・ヒル、フィリップ・エッティンガー
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