PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば

映画を観た日のアレコレ No.40

アイドル
和田彩花の映画日記
2021年4月6日

SNSで最新情報をチェック!
映画を観た日のアレコレ
なかなか思うように外に出かけられない今、どんな風に1日を過ごしていますか? 映画を観ていますか?
何を食べ、何を思い、どんな映画を観たのか。 誰かの“映画を観た一日”を覗いてみたら、どんな風景が見えるでしょう?
日常の中に溶け込む、映画のある風景を映し出す連載「映画を観た日のアレコレ」。
40回目は、アイドル 和田彩花さんの映画日記です。
日記の持ち主
アイドル
和田彩花
Ayaka Wada
1994年8月1日生まれ。群馬県出身。アイドル。
2009年4月アイドルグループ「スマイレージ」(後に「アンジュルム」に改名)の初期メンバーに選出。リーダーに就任。10年5月「夢見る15歳」でメジャーデビューを果たし、同年「第52回日本レコード大賞」最優秀新人賞を受賞。19年6月18日をもって、アンジュルム、およびHello! Projectを卒業。アイドル活動を続ける傍ら、大学院でも学んだ美術にも強い関心を寄せる。

2021年4月6日

雲の隙間からうっすら太陽が覗けそうだけど、やっぱり見えないかと思いながら目を覚ました。4月に入ってから、随分暖かい日が続いたから、少しひんやりする今日の気温に少し驚く。最近、お気に入りの残糸を使ったカーディガンを羽織る。肌に伝わるカーディガンの重さから、大量生産だと感じられない携わった人の暖かさを知る。

普段から、映画に特別な関心があるわけではたぶんない。あくまでも、自分の好きなアートの延長線上で映像作品に触れる機会があるくらいなのだと思う。人生で一番思い出に残っている映画は6年前に見た園子温さんの『ひそひそ星』で、動画配信サービスには登録しているものの思い出として記憶に残っている作品ってなんだろうというような調子だ。というのも、激しい音やアクション、ストーリー展開のあるものだと、自分が痛くなったり驚きすぎたりして観終わったあとの疲労感が半端なく、記憶に残りにくいだけなんだと思う。というか、自分の好みにあった動画配信サービスを見つけられるといいのかもしれない。だけど、同時に、そこまでして映画に触れようとする自分がいなさそうであることにも薄々気づいている。

そうこうしているうちに、雨がぱらついてきた。空は、完全にどんよりしてしまった。

こんな天気にも合う映画を、それほど映画と距離の近くなさそうな私が紹介させていただく。

アルベール・ラモリス監督の『赤い風船』は、不思議な風船と少年パスカルをめぐるファンタジー映画だ。少年と風船の友情という詩的な創造性を楽しむことができる。

ストーリーはあるものの、台詞の数は少なく、少年パスカルの感情表現を捉える描写もそれほど多くない。

例えば、物語終盤に少年パスカルと風船は、いたずらっ子たちに追いかけ回され、風船が割れてしまう。感情が揺れ動くシーンであったが、風船がしぼんでいく様子がじっと捉えられ、少年パスカルの感情描写は風船が割れ、次の展開が始まってからしか捉えられていない。

このシーンは、客観的に見ていることしかできないもどかしさにも感じられるが、私にとっては鑑賞者の感情を大きく揺さぶり過ぎず、説明的に処理されていない余白部分としての心地良さを感じられたりする箇所でもある。ちょっとしたことだけど、この余白を感じることが好きなんだ。

それから、石造りの町並みに赤い風船が映える、イメージの美しさに心惹かれることも伝えたい。今から50年以上前のフランスの雰囲気を感じられる点も面白いと思ったのだけど、フランスの町並み自体は今でもそんなに変わってないかもしれない。少年パスカルが上り下りした階段や走り回っていた狭い路地があったりするだろうか。石造りの量感というのか、薄汚れた外壁から感じる雰囲気なのかはわからないけれど、はやくあの土地へ、空気へ、文化へ足を踏み入れたい。本来ならば、去年1年間フランスに滞在する予定だったから、叶わぬ渡航への想いから、今はそんな風に映像越しのフランスの町並みを眺めてしまったりして。

たった30分ほどの短編だけど、所々に詰め込まれている素敵な感覚に時々触れたくなる。気軽に観れて、心洗われて、また日常に戻っていけるのも好きなところ。

今日は、どんよりした天気を側に、心地よく午後の日程をこなせそうだ。

BACK NUMBER
PROFILE
アイドル
和田彩花
Ayaka Wada
1994年8月1日生まれ。群馬県出身。アイドル。
2009年4月アイドルグループ「スマイレージ」(後に「アンジュルム」に改名)の初期メンバーに選出。リーダーに就任。10年5月「夢見る15歳」でメジャーデビューを果たし、同年「第52回日本レコード大賞」最優秀新人賞を受賞。19年6月18日をもって、アンジュルム、およびHello! Projectを卒業。アイドル活動を続ける傍ら、大学院でも学んだ美術にも強い関心を寄せる。
RANKING
  1. 01
    嗚呼、こんなにも魅惑的な登場人物たち! 第4回
    ホラーよりも怖い!?
    究極の恐怖が一人の父親を襲う『震える舌』
  2. 02
    大下ヒロトのいつかの君とつながりたい。第18回
    映画を観る。
  3. 03
    どうしても語らせてほしい一本「大事な人と観たい、大事な人に届けたい映画」
    夢や希望、生きる意味を見失った時、再び立ち上がる力をくれた映画『ライムライト』
  4. 理解できない! それなのに、危険な存在に惹かれてしまう怖さって? 04
    嗚呼、こんなにも魅惑的な登場人物たち! 第2回
    理解できない!
    それなのに、危険な存在に惹かれてしまう怖さって?
  5. 人の本質がまる見え!? 怖い…けど面白い! 「トラウマ映画」のススメ 05
    実体験にもとづく! オススメ「トラウマ映画」特集
    人の本質がまる見え!?
    怖い…けど面白い!
    「トラウマ映画」のススメ
  6. 負けていった人たちの味方でありたい。諦めなかった自分を積み上げ、鼓舞していく『佐々木、イン、マイマイン』 06
    藤原季節×細川岳×内山拓也監督 インタビュー
    負けていった人たちの味方でありたい。諦めなかった自分を積み上げ、鼓舞していく『佐々木、イン、マイマイン』
  7. 「みんな我慢しているから、あなたも我慢するべき」という同調圧力。“姥捨て山”のある社会にしないために『楢山節考』 07
    嗚呼、こんなにも魅惑的な登場人物たち! 第8回
    「みんな我慢しているから、あなたも我慢するべき」という同調圧力。“姥捨て山”のある社会にしないために『楢山節考』
  8. 夫婦の極限状態がぶつかる、生々しい修羅場!不倫による裏切りで、人はどう壊れていくのか?『死の棘』 08
    嗚呼、こんなにも魅惑的な登場人物たち! 第9回
    夫婦の極限状態がぶつかる、生々しい修羅場!不倫による裏切りで、人はどう壊れていくのか?『死の棘』
  9. 大人になる前の一瞬の輝き。 『御法度』松田龍平演じる加納惣三郎の強烈な魅力とは? 09
    嗚呼、こんなにも魅惑的な登場人物たち! 第1回
    大人になる前の一瞬の輝き。
    『御法度』松田龍平演じる加納惣三郎の強烈な魅力とは?
  10. なぜ許されない!ただ生きて、愛しただけなのに。差別は、私の生きる世界で行われている『砂の器』 10
    嗚呼、こんなにも魅惑的な登場人物たち! 第5回
    なぜ許されない!ただ生きて、愛しただけなのに。差別は、私の生きる世界で行われている『砂の器』
シェアする