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映画を観た日のアレコレ No.51

漫画家
今日マチ子の映画日記
2021年9月27日

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なかなか思うように外に出かけられない今、どんな風に1日を過ごしていますか? 映画を観ていますか?
何を食べ、何を思い、どんな映画を観たのか。 誰かの“映画を観た一日”を覗いてみたら、どんな風景が見えるでしょう? 日常の中に溶け込む、映画のある風景を映し出す連載「映画を観た日のアレコレ」。
51回目は、漫画家 今日マチ子さんの映画日記です。
日記の持ち主
漫画家
今日マチ子
Machiko Kyo
漫画家。1P漫画ブログ「今日マチ子のセンネン画報」の書籍化が話題に。4度文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。戦争を描いた『cocoon』は「マームとジプシー」によって舞台化。2014年に手塚治虫文化賞新生賞、2015年に日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門を受賞。『みつあみの神様』は短編アニメ化され海外で23部門賞受賞。近著にコロナ禍の日常を絵日記のように描いた『Distance わたしの#stayhome日記』等。

2021年9月27日

ボートに乗りに行った。年に何回か利用するのだけど、今までで一番混んでいた。足こぎの屋根付きボートとスワンボートの列は、どう見ても1時間は待ちそう。あと1時間半早くに来るつもりだったのに、休みであることに甘えてだらだらと布団で過ごしてしまったのが悔やまれる。月末で〆切が多く、あれやこれや考えていたら明け方何度も悪夢をみたせいだ。身体もだるいし、気分もいまいちだ。コロナ禍なのにボート乗り場だけは密も密で、並ぶのも不安である。係員さんもいつもより大声でせわしなく、苛立っているのが伝わってくる。
屋根付きやスワンと対照的に、手こぎのローボートは待っている人がいない。秋分の日を迎えたのに太陽はカンカン照りで、あと数時間もしたら真夏並みの気温だ。即決である。

しかし、前回ローボートを漕いだのはもう10年も前だ。それも、こぎ出してから船着き場からはなれられず、係員さんに棒で押し出してもらった記憶がある。それからも同じ箇所でぐるぐる回っていた。他のボートに乗っていた友人が見かねて船を寄せて、懇切丁寧に教えてくれたが、ほとんど動けなかった。
とにかく9月のこの暑さの中、時間には変えられない。ボートに乗った。絶対に戻ってくる、と心に決める。池を眺めると、なんだかいつもより広く見える。本当に戻ってこれるんだろうか…。まず、ボートは後ろ向きに進むことを確認する。オールを右に漕げば左後方に曲がり、左を漕げば右後方に曲がる。こぎ出していきなり杭にぶつかりそうになるが、避けることができた。慎重に進めて、池の真ん中まで行く。
手首を痛めないように、腕全体で漕ぐ。上半身を前後に動かすようにすると負担が少ないことに気づいた。手をとめて、ぷかぷか浮いている状態にする。鴨が近くに泳いできたりして、和む。気持ちが良い。池の端の木陰にボートを寄せて、本を読んでいる人がいた。30分とか1時間、完全な一人の空間だ。誰にも邪魔されないし、いい過ごし方だと思う。
足こぎボートに比べると見劣りのする手こぎボートだが、実際に乗ってみると少ない力で進むことが出来るし、屋根がないぶん視界が広い。今度から手こぎボートにしよう。行きの決死の覚悟はすでにどこかに消えて、余裕をもって船着き場にボートを置いた。

帰宅して、夕方に『ホーム・アローン』を観る。いったい何度目なのかわからない。子どもの頃にはひたすらドタバタを楽しんでいたけれど、大人になってから観ると、台詞の回収や脇役のおじいさんの絡みなど、よく出来た作品だなと思った。何より、サンタがいる、ということがきちんとフォローされているのがいい。
なぜこんな初秋の夏日にクリスマスの映画を観ているのかといえば、私はクリスマスが大好きなのだ。だから9月に入ったらクリスマスの楽曲を聴いたりして祭りを始めるのである。まあ、正直なところクリスマスが好きというよりは、暑い夏が嫌いなだけなのだけど。そんなわけで、私はいつも10月末のハロウィンの前にクリスマスを消費してしまう。冬の前にすっかり飽きてしまうわけだ。そこから先は、仕事の合間に酉の市に行ったり、大掃除をしたりして、日常が過ぎていく。
早すぎるクリスマス祭りが終わった年末年始までの11月と12月は、いつもぽっかり大きく空いている。大きな広い池のようだ。その真ん中へボートを漕いでいく、いまは秋。
小春日和にボートで本を読んでみたい。そんなことを考えながら、今年の残りのスケジュールを眺めている。

今日マチ子の映画日記
BACK NUMBER
FEATURED FILM
監督:クリス・コロンバス
出演:マコーレー・カルキン、ジョー・ペシ、ダニエル・スターン ほか
パリでクリスマスを過ごそうと飛行機に乗り込んだ15人の大家族。だが、飛行機の中で思い出した大事な忘れ物は……8歳のケビンだった! 家に取り残されたケビンは、一人の自由を思う存分楽しんでいたが、そこに2人組の泥棒が現れて……?
PROFILE
漫画家
今日マチ子
Machiko Kyo
漫画家。1P漫画ブログ「今日マチ子のセンネン画報」の書籍化が話題に。4度文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。戦争を描いた『cocoon』は「マームとジプシー」によって舞台化。2014年に手塚治虫文化賞新生賞、2015年に日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門を受賞。『みつあみの神様』は短編アニメ化され海外で23部門賞受賞。近著にコロナ禍の日常を絵日記のように描いた『Distance わたしの#stayhome日記』等。
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