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映画を観た日のアレコレ No.30

2020年12月27日
ヴィレッジヴァンガード
下北沢店次長・イラストレーター
長谷川朗の映画日記

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なかなか思うように外に出かけられない今、どんな風に1日を過ごしていますか? 映画を観ていますか?
何を食べ、何を思い、どんな映画を観たのか。
誰かの“映画を観た一日”を覗いてみたら、どんな風景が見えるでしょう?
日常の中に溶け込む、映画のある風景を映し出す連載「映画を観た日のアレコレ」。
30回目は、ヴィレッジヴァンガード 下北沢店次長・イラストレーター 長谷川朗さんの映画日記です。
日記の持ち主
ヴィレッジヴァンガード 下北沢店次長・イラストレーター
長谷川朗
Akira Hasegawa
書籍担当。
イラストレーターとしても活動し、2020年11月に穂村弘さんとの共著 絵本『しんかんせん!』(くもん出版)を刊行。

2020年12月27日

年末になると、仕事の忙しさと比例するかのように映画を観るのも忙しくなる。学生時代からそうで、テスト前とかになるとそこから逃げるように映画を観る量が激増するのである。でも年末の映画鑑賞本数の激増は忙しさから逃げるためではなく、見逃し映画を少しでも拾ってから今年のベスト10を決めたいというもの。12月に入ってからは通勤中も時間を惜しんで映画を観る。

電車の中でも映画は観れる。小さなスマホの画面でもヘッドホンをして観ていると、意外にちゃんと集中して観れるのだ。今日もちゃんと涙を流した。電車の中で1人で(笑)。
昨日からAmazonプライムのオリジナル作品を観ていた。アメリカのメディアが選ぶ今年のベスト10によく見る作品を。ドキュメンタリーで重い。良かったが僕の趣味ではない。年末になると趣味より、周りの評価とか賞レースに左右される自分が嫌だけど、観ないと気がすまない。
ここ最近そういう作品ばかり観ていて疲れている。

下北沢のヴィレッジヴァンガードは今11時オープン。その1時間前にお店の入り口を開け開店準備をする。扉を開けると今日もいつも以上に人が並んでいる。向かいのスーパーオオゼキに。年末になるにつれ、スーパーのオープン前の列は長蛇になっていく。コロナ第一波の頃もすごかったけど。
たくさん買い込んだものを入れたエコバッグを持って、スーパーからお客さんが出てくるころにうちのお店もオープン。

今日は年末の日曜日ということでずっとレジから離れられない。そこそこに忙しい。でも今年はコロナのせいで例年に比べると悲しくなるほどに忙しくはない。クリスマスから年末年始にかけてのお祭りのように気分が高揚するあの忙しさがないのでさみしい。昼出勤のスタッフが加わり、ようやくレジから解放され2時から休憩に。
休憩時間の1時間はいつも人が来ないバックヤードの奥の方に身を隠す。この時間はあまり人に邪魔されたくない。でもこの季節にその場所は暖房が効かなくて寒い。でも寒さより1人になれる時間が欲しい。お弁当を食べながらヘッドホンをして映画を観る。で、食べ終えると眠くなって軽く昼寝がいつものパターン。

「観ておかなければいけない映画」に疲れていたので、なんかすごくバカな感じの映画が観たい。やはり、アカデミー賞とかカンヌとかに選ばれるような作品ばかりを観てるだけじゃ映画を嫌いになってしまう(笑)! で、今日の昼から観始めたのが2か月ぶりの『スーパーバッド 童貞ウォーズ』。これで3回目。なぜ2か月前に久々に観たかというと『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』の影響である。今年大絶賛された『ブックスマート』は女性版『スーパーバッド』と言われているので改めて観なおしてみたのだが、これが驚くほどによく似ている。オマージュ作品であるといってもいい。現代版としてアップデートされた。
そして『ブックスマート』後の『スーパーバッド』が以前観たときよりも数倍もいい作品に感じられる。こんなにいい作品だったんだと。ただの下品な下ネタコメディではないと。

そういう作品って他にもあって、記憶に新しいところでは『ジョーカー』。『ジョーカー』はマーティン・スコセッシ監督の『キング・オブ・コメディ』と『タクシードライバー』のオマージュ作品と言われている。で、『ジョーカー』を観た後に未見だった『キング・オブ・コメディ』を観たら、これが本当にすごかった。あれもこれもと言わんばかりに『ジョーカー』で描かれていたオマージュシーンの元ネタが出てくる。その興奮もあり、『キング・オブ・コメディ』は『ジョーカー』以上に僕の中で傑作となったのだが、逆だったらどうだろう。僕はその順番で観たけれど、『キング・オブ・コメディ』を先に観ていたら…。

話は戻り、休憩中に「バカだな~。にこにこ」と、『スーパーバッド』を観て、睡魔にも襲われず1時間満喫元気いっぱい。これから1月のシフト作りをパソコンで。これまたレジ横の1人しか入れないような狭いところで約30人のスタッフのシフト作りを。また帰りの電車であいつらに楽しませてもらおうなんて考えながら。
あ、ちなみに2020年の僕のベストは『燃ゆる女の肖像』でした!

長谷川朗の映画日記
BACK NUMBER
INFORMATION
『しんかんせん!』
文:穂村弘 絵:長谷川朗
発行:くもん出版
定価:本体1400円+税
人気歌人・穂村弘が綴る、はじめての体験にドキドキする男の子の、ささやかな冒険を、新鋭イラストレーター・長谷川朗が、大胆なデフォルメと、ポップな色使いで描き出します。
新幹線での「あるある」な体験を、見たことがない新鮮なビジュアルで表現する、新感覚の乗り物えほん。
PROFILE
ヴィレッジヴァンガード 下北沢店次長・イラストレーター
長谷川朗
Akira Hasegawa
書籍担当。
イラストレーターとしても活動し、2020年11月に穂村弘さんとの共著 絵本『しんかんせん!』(くもん出版)を刊行。
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