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映画の言葉『か「」く「」し「」ご「」と「』 黒田文の言葉より

「自分の弱い部分を許せないなんて、こんなに悲しいことはありません」

『か「」く「」し「」ご「」と「』場面写真
©2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会 ©2017住野よる/新潮社
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

自分の弱い部分を許せないなんて、
こんなに悲しいことはありません

By 黒田文

『か「」く「」し「」ご「」と「』

毎朝、鏡の前で寝癖を直そうと奮闘している中学生の息子を見ていると、「自分もこうだったな」と懐かしくなります。今となっては多少の寝癖なんて誰も気にしていないとわかりますが、思春期においては一大事でした。

周りからどう思われているかばかりが気になって、他人の気持ちを深読みしすぎてしまうあの感覚。自意識で頭の中がいっぱいになって、友達の言動に一喜一憂してしまうあの感覚。映画『か「」く「」し「」ご「」と「』は、そんな思春期特有の感覚を見事に映像化した青春映画です。

自分に自信がなくて控え目な高校生・大塚京(奥平大兼)は、クラスの人気者・三木直子、通称ミッキー(出口夏希)に片想い中。ただのクラスメイトでいいと思っていたものの、あることをきっかけに5人組の仲間として共に行動するようになっていきます。実は、京には他人の気持ちが少しだけわかってしまうという能力がありました……。

もどかしいほどに交錯する京たちそれぞれの想い。彼らは文化祭で劇をやったり、修学旅行に行ったりと青春イベントを全力で経験していきますが、共通しているのは他人の気持ちがとても気になるのと同じくらい、いやもしかしたらそれよりも強く、自分自身に対して不安を感じているということです。

「自分の弱い部分を許せないなんて、こんなに悲しいことはありません」

これは、5人組のひとりでミッキーの親友である黒田文・通称パラ(菊池日菜子)が、文化祭の劇の最後で発する言葉です。あの子が自分のことをどう思っているのか気になる。でも、自信がないから確かめられない。「僕なんか」「私なんか」そんな風に自分の中に作ってしまう高い壁に悶々として、自分の弱さを思い知って苦しむのが若さです。でも、自分の弱さを受け入れて、その壁を乗り越えていけるのもまた、若さなのです。

悩んで、互いを思いやって、色々なことに気付いて、成長していく……誰もが経験した青春時代の軌跡を、「自意識」のイメージ化と魅力的なキャストたちによって純度100%で描き切った本作。いままさに彼らと同じ世代のあなたも、かつて青春時代を過ごしたあなたも、思春期の苦しみと喜びを全身で浴びてみませんか?

BACK NUMBER
FEATURED FILM
「自分なんて」と引け目を感じている高校生・京(奥平大兼)は、ヒロインじゃなくてヒーローになりたいクラスの人気者・三木(出口夏希)が、気になって仕方がない。三木の親友で予測不能な言動でつかめない存在の黒田文・通称パラ(菊池日菜子)と、明るく楽しそうな彼女を、いつも遠くから見つめるだけ。そんな三木の幼馴染で京の親友の、高崎博文・通称ヅカ(佐野晶哉)を通し、卒業するその日まで“友達の友達”として一緒にいるはずだった──
ある日、内気な性格の宮里(早瀬憩)が、学校に来なくなったことをきっかけに、5人の想いが動き出す───
©2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会 ©2017住野よる/新潮社
主演:奥平大兼 出口夏希
出演:佐野晶哉(Aぇ! group) 菊池日菜子 早瀬憩 
監督・脚本:中川駿
主題歌:ちゃんみな「I hate this love song」 (NO LABEL MUSIC / Sony Music Labels Inc.)
原作:住野よる『か「」く「」し「」ご「」と「』(新潮文庫刊)
配給:松竹 
5月30日(金) 全国公開
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