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映画の言葉『ミーツ・ザ・ワールド』 ユキの言葉より

人が人によって変えられるのは、四五度まで

映画『ミーツ・ザ・ワールド』
©金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

人が人によって変えられるのは、四五度まで

By ユキ

『ミーツ・ザ・ワールド』

誰かのことを救いたい、変えてあげたいと思ったことはありますか? 自堕落な毎日を過ごす思春期の子ども、お酒やギャンブルがやめられない恋人……大切な人だからこそ「変えてあげたい」という使命感に駆られてしまう。そんな方も少なくないのではないでしょうか。

映画『ミーツ・ザ・ワールド』の主人公・由嘉里(杉咲花)も同じ思いを抱えています。婚活中の“腐女子”である彼女は自分のことが好きではありません。ある日、由嘉里は歌舞伎町の路上で酔いつぶれてしまったところをキャバ嬢のライ(南琴奈)に助けられ、そのままライの家で同居することに。美しいライに憧れつつ、「自分はもうすぐ死ぬ」と希死念慮のようなものを語るライのことが心配で仕方がない由嘉里は、自らの自己肯定感の低さを棚に上げて「・・ライさんのこと、ライさんが一番大事にしてくれないと、嫌ですよ私・・」と彼女に頼み込みます。

由嘉里は歌舞伎町に暮らしながら、ライや周囲の人々と交流することによって今まで関わったことがなかった世界に触れ、多様な価値観に出会いながら、ライを変える方法はないかを模索していくのでした。

「人が人によって変えられるのは、四五度まで」

由嘉里が歌舞伎町で出会ったうちのひとりである作家のユキ(蒼井優)は、落ち込む由嘉里にこう声をかけます。他人と自分は違うこと、人が他者の影響を受けて変化できる範囲には限界があること。「九〇度百八〇度捩じれたら人は折れるよ」と、いくら相手のためだとしても、自分の気持ちを押し付け過ぎると無理が生じるものだと、ユキは由嘉里を優しく諭すのでした。

「他者を受け入れる」=「相手と自分の価値観を一致させる」ではありません。そんなことは不可能だから。むしろ、相手と自分の違いを認めることからその一歩は始まるのです。人間は誰しも違うということを受け入れることで、自分をも受け入れられるようになる。しかし、それを理解した上で、それでも大切な人には幸せに生きてほしいと願わずにはいられない。誰かを大切に思ったことがある人ならば、大切な人のためにもがく由嘉里の姿がきっと心に響くはずです。

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BACK NUMBER
FEATURED FILM
擬人化焼肉漫画「ミート・イズ・マイン」に全力で愛を注ぎながらも、自分のことは好きになれない由嘉里。27歳になって結婚・出産…と違う世界に次々と離脱する腐女子仲間をみて、このまま仕事と趣味だけで生きていくことへの不安と焦りを感じ、婚活を始める。しかし参加した合コンで惨敗。歌舞伎町で酔いつぶれていたところ、希死念慮を抱えるキャバ嬢・ライに助けられる。ライになぜか惹かれた由嘉里は、そのままルームシェアを始めることに。やがて、既婚のNo.1ホスト・アサヒ、人の死ばかりを題材にする毒舌作家・ユキ、街に寄り添うBARのマスター・オシンと出会い、歌舞伎町での生活に安らぎを覚えていく。そんな日々の中でもライのことが気がかりな由嘉里は、かつての恋人との確執が解ければ死にたい感情は消えるかもしれないと考え、アサヒやユキ、オシンに相談する。だが、価値観を押し付けるのはよくないと言われてしまう。それでもライに生きてほしいと願う由嘉里は、元恋人との再会を試みるが―。
©金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会
出演:杉咲花
南琴奈 板垣李光人
くるま(令和ロマン) 加藤千尋 和田光沙 安藤裕子 中山祐一朗 佐藤寛太
渋川清彦 筒井真理子 / 蒼井優
(劇中アニメ「ミート・イズ・マイン」) 村瀬歩 坂田将吾 阿座上洋平 田丸篤志
監督:松居大悟 
原作:金原ひとみ『ミーツ・ザ・ワールド』(集英社文庫 刊)
脚本:國吉咲貴 松居大悟 音楽:クリープハイプ
主題歌:クリープハイプ「だからなんだって話」(ユニバーサルシグマ)
配給:クロックワークス
2025年10月24日(金)全国公開
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